不整形地の相続税評価とは?補正率の計算方法を図解で解説

「相続した土地が三角形で、評価額をどう計算すればいいか分からない…」
不整形地(ふせいけいち)とは、正方形や長方形ではない、形が整っていない土地のことです。台形やL字型、旗竿地(はたざおち)など、不整形な土地は利用しにくいため、相続税評価額を最大40%減額できる可能性があります。
この記事では、不整形地の評価方法を基礎から解説し、かげ地割合の計算方法、4つの評価方法の選び方、税務調査で指摘されやすいポイントまで、不動産鑑定士の視点で詳しく説明します。
不整形地とは?相続税評価で重要な理由
不整形地の定義と具体例
不整形地とは、正方形や長方形(整形地)ではない形状の土地を指します。具体的には以下のような土地が該当します。
| 形状 | 特徴 | 減額の目安 |
|---|---|---|
| 台形 | 一辺が斜めになっている | 10〜20% |
| 三角形 | 三角形または鋭角を含む | 20〜30% |
| L字型 | 建物配置が制限される | 15〜25% |
| 旗竿地 | 細い通路で道路に接続 | 25〜40% |
| 不規則形状 | 複数の凹凸がある | 状況による |
これらの土地は、建物の配置や駐車スペースの確保が難しく、整形地と比べて利用価値が低くなります。
なぜ不整形地は評価額が下がるのか
不整形地の評価額が低くなる理由は、主に3つあります。
1. 利用効率の低下
不整形な形状では、土地を有効に使えない「無駄な部分」が生じます。例えば、三角形の土地では角の部分に建物を建てにくく、デッドスペースになりがちです。
2. 建築制限
建築基準法では、建ぺい率や容積率の計算に土地全体の面積を使いますが、実際に建物を建てられる範囲は限られます。
3. 市場性の低下
不整形地は買い手が付きにくく、売却時に価格交渉で不利になることが多いです。この市場性の低さが、相続税評価にも反映されます。
不整形地補正率の減額効果
不整形地補正率は0.60〜1.00の範囲で設定されています。補正率0.60なら評価額が40%減額されることになります。
具体的な節税効果を見てみましょう。
例:路線価20万円/平米、200平米の不整形地(かげ地割合40%、普通住宅地区)
- 整形地の場合:20万円 × 200平米 = 4,000万円
- 不整形地補正率:0.88(普通住宅地区、かげ地割合40%の場合)
- 不整形地の評価額:4,000万円 × 0.88 = 3,520万円
- 評価減額:480万円
相続税率が30%の場合、480万円 × 30% = 約144万円の節税効果があります。
不整形地補正率の基本【計算式と補正率表】
不整形地補正率とは
不整形地補正率とは、不整形な土地の評価額を減額するための係数です。財産評価基本通達20に基づき、「地区区分」と「かげ地割合」によって決まります。
補正率が小さいほど(1.00に近いほど)減額幅は小さく、補正率が大きいほど(0.60に近いほど)減額幅が大きくなります。
地区区分と地積区分の確認方法
不整形地補正率を適用するには、まず土地の「地区区分」と「地積区分」を確認する必要があります。
地区区分の種類
| 地区区分 | 特徴 |
|---|---|
| ビル街地区 | 高層ビルが立ち並ぶ商業地 |
| 高度商業地区 | 駅前の繁華街など |
| 繁華街地区 | 商店街など |
| 普通商業・併用住宅地区 | 店舗と住宅が混在 |
| 普通住宅地区 | 一般的な住宅地(最も多い) |
| 中小工場地区 | 工場が集まる地域 |
| 大工場地区 | 大規模工場の地域 |
地区区分は、国税庁の路線価図で確認できます。路線価の数字の横に記載されている記号(ビル街、高度商業など)が地区区分です。
地積区分
地積区分はA・B・Cの3段階で、土地の面積と地区区分によって決まります。
| 地区区分 | A | B | C |
|---|---|---|---|
| 普通住宅地区 | 500平米未満 | 500〜750平米未満 | 750平米以上 |
| 普通商業地区 | 650平米未満 | 650〜1,000平米未満 | 1,000平米以上 |
不整形地補正率表の見方
以下は普通住宅地区における不整形地補正率表です。
普通住宅地区の不整形地補正率表
| かげ地割合 | 地積区分A | 地積区分B | 地積区分C |
|---|---|---|---|
| 10%以上 | 0.98 | 0.99 | 0.99 |
| 15%以上 | 0.96 | 0.98 | 0.99 |
| 20%以上 | 0.94 | 0.96 | 0.97 |
| 25%以上 | 0.92 | 0.95 | 0.96 |
| 30%以上 | 0.90 | 0.93 | 0.95 |
| 35%以上 | 0.88 | 0.91 | 0.93 |
| 40%以上 | 0.85 | 0.88 | 0.90 |
| 45%以上 | 0.82 | 0.85 | 0.87 |
| 50%以上 | 0.79 | 0.82 | 0.84 |
| 55%以上 | 0.75 | 0.78 | 0.80 |
| 60%以上 | 0.70 | 0.73 | 0.75 |
| 65%以上 | 0.60 | 0.65 | 0.70 |
かげ地割合が大きいほど、補正率は小さくなり、評価額の減額幅が大きくなります。
想定整形地の作り方【よくある間違いを図解】
かげ地割合を計算するには、まず「想定整形地」を正しく取る必要があります。ここで間違えると、税務調査で否認されるリスクがあります。
想定整形地の基本ルール
想定整形地とは、不整形地を囲む最小面積の長方形(または正方形)のことです。以下のルールに従って作図します。
- 道路に対して垂直・平行に取る
- 不整形地全体を囲む最小の長方形にする
- 道路からの奥行は「想定整形地の奥行距離」で計算する
よくある間違い①:想定整形地を大きく取りすぎる
最も多い間違いは、想定整形地を必要以上に大きく取ってしまうことです。
間違いの例
L字型の土地で、凹んだ部分まで含めた大きな長方形を想定整形地にしてしまうケース。
正しい取り方
L字型の土地は、道路に面した部分を基準に、最小面積で囲む長方形を取ります。凹んだ部分を無視して大きく取ると、かげ地割合が過大になり、税務署から否認される可能性があります。
よくある間違い②:道路に対する垂直・平行を無視
想定整形地は、原則として道路に対して垂直・平行に取ります。
間違いの例
斜めの道路に面した土地で、道路と平行ではなく、東西南北に合わせて長方形を取ってしまうケース。
正しい取り方
道路の方向に合わせて、道路に垂直・平行になるように想定整形地を取ります。
よくある間違い③:間口が複数ある場合の処理
角地や二方路線に面する土地では、どの道路を基準にするかで想定整形地が変わります。
ルール
- 路線価が高い方の道路を正面として想定整形地を取る
- 両方の道路で想定整形地を取り、評価額が低くなる方を採用できる場合もある
正しい想定整形地の取り方チェックリスト
想定整形地を取る際は、以下のポイントをチェックしましょう。
- 道路に対して垂直・平行になっているか
- 不整形地全体を囲んでいるか
- 必要以上に大きく取っていないか
- 角地の場合、正面路線を正しく判定しているか
- 計算過程の図面を保存しているか
かげ地割合の計算方法
かげ地割合とは
かげ地割合とは、想定整形地のうち、実際の不整形地に含まれない部分(かげ地)の割合です。
計算式
かげ地割合 = (想定整形地の地積 - 不整形地の地積) ÷ 想定整形地の地積
例えば、想定整形地が250平米、不整形地が200平米の場合:
かげ地割合 = (250 - 200) ÷ 250 = 0.20(20%)
かげ地割合の計算事例
事例1:台形の土地
- 不整形地の面積:180平米
- 想定整形地の面積:220平米
- かげ地割合:(220 - 180) ÷ 220 = 18.2%
- 適用される補正率:0.96(普通住宅地区、地積区分A)
事例2:L字型の土地
- 不整形地の面積:150平米
- 想定整形地の面積:250平米
- かげ地割合:(250 - 150) ÷ 250 = 40%
- 適用される補正率:0.85(普通住宅地区、地積区分A)
事例3:旗竿地
- 不整形地の面積:120平米
- 想定整形地の面積:260平米
- かげ地割合:(260 - 120) ÷ 260 = 53.8%
- 適用される補正率:0.79(普通住宅地区、地積区分A)
4つの評価方法の選び方【フローチャート付き】
不整形地の評価には4つの方法があり、どの方法を選ぶかで評価額が変わります。財産評価基本通達では、いずれかの方法で計算した評価額を採用できます。
評価方法①:区分整形地方式
不整形地を複数の整形地に分割して、それぞれの評価額を合計する方法です。
適用ケース
- L字型など、複数の長方形に分割しやすい土地
- 各部分の奥行距離が大きく異なる土地
計算例
L字型の土地を、A部分(100平米)とB部分(80平米)に分割。
- A部分:路線価20万円 × 100平米 × 奥行価格補正率0.97 = 1,940万円
- B部分:路線価20万円 × 80平米 × 奥行価格補正率0.95 = 1,520万円
- 合計:3,460万円
評価方法②:計算上の奥行距離方式
不整形地の面積を間口距離で割って「計算上の奥行距離」を求め、奥行価格補正率を適用する方法です。
計算式
計算上の奥行距離 = 不整形地の面積 ÷ 間口距離
適用ケース
- 間口に対して奥行が深い土地
- 旗竿地以外の不整形地で簡便に計算したい場合
評価方法③:近似整形地方式
不整形地に近似する整形地を想定し、その整形地として評価する方法です。
適用ケース
- 形状が整形地に近い土地
- かげ地割合が小さい土地
評価方法④:差引計算方式
想定整形地の評価額から、かげ地部分の評価額を差し引く方法です。旗竿地などで有利になることがあります。
計算式
評価額 = 想定整形地の評価額 - かげ地の評価額
適用ケース
- 旗竿地
- かげ地部分が明確に特定できる土地
【フローチャート】どの評価方法を選ぶべきか
以下のフローチャートで最適な評価方法を選びましょう。
-
土地を複数の整形地に分割できるか?
- Yes → 区分整形地方式を検討
- No → 次へ
-
旗竿地(敷地延長)か?
- Yes → 差引計算方式を検討
- No → 次へ
-
かげ地割合が10%未満か?
- Yes → 近似整形地方式が有利な場合あり
- No → 計算上の奥行距離方式を基本に
重要:4つの方法すべてで計算し、最も評価額が低くなる方法を選ぶのが原則です。
4つの方法で評価額を比較検証
同じ土地でも、評価方法によって評価額が変わります。以下は実際の比較例です。
前提条件
- 土地形状:L字型
- 不整形地面積:200平米
- 路線価:25万円/平米
- 地区区分:普通住宅地区
評価額の比較
| 評価方法 | 評価額 | 差額 |
|---|---|---|
| 区分整形地方式 | 4,650万円 | - |
| 計算上の奥行距離方式 | 4,500万円 | -150万円 |
| 近似整形地方式 | 4,700万円 | +50万円 |
| 差引計算方式 | 4,400万円 | -250万円 |
この例では、差引計算方式が最も有利で、250万円の評価減が可能です。
税務調査で指摘されやすいポイント
不整形地の評価は専門性が高く、税務調査で指摘されることがあります。以下のポイントに注意しましょう。
指摘ポイント①:想定整形地の取り方が不適切
最も多い指摘は、想定整形地の取り方です。
よくある問題
- 想定整形地を大きく取りすぎている
- 道路に対して垂直・平行になっていない
- 根拠となる図面が保存されていない
対策
想定整形地の取り方について、計算過程を図面で残し、なぜその形状にしたかの根拠を説明できるようにしておきましょう。
指摘ポイント②:地区区分の誤り
路線価図で確認した地区区分と、実際に適用した地区区分が異なるケースがあります。
よくある問題
- 路線価図を確認せず、周辺の状況だけで判断した
- 複数の地区にまたがる土地で、適用地区を間違えた
対策
必ず国税庁の路線価図で地区区分を確認し、印刷して保存しておきましょう。
指摘ポイント③:かげ地割合の計算ミス
かげ地割合の計算で、面積の測定ミスや計算ミスがあるケースです。
よくある問題
- 登記簿の面積と実測面積が異なる
- 想定整形地の面積を間違えている
対策
測量図がある場合は測量図の面積を使い、ない場合は登記簿面積を使います。計算過程を明確に残しておきましょう。
指摘ポイント④:他の補正率との併用ルールの誤り
不整形地補正率は、他の補正率と併用できますが、ルールがあります。
併用のルール
- 奥行価格補正率:併用可能(掛け合わせて計算)
- 間口狭小補正率:併用可能(掛け合わせて計算、下限0.60)
- 奥行長大補正率:併用不可(不整形地補正率と奥行長大補正率は選択適用)
注意
不整形地補正率と間口狭小補正率は、掛け合わせて計算します(下限0.60)。ただし、奥行長大補正率と不整形地補正率は併用できません。どちらか有利な方を選択して適用します。
税務調査対策:根拠資料の準備
税務調査に備えて、以下の資料を準備・保存しておきましょう。
- 路線価図(地区区分が確認できるもの)
- 想定整形地の作図過程
- かげ地割合の計算書
- 評価方法の選択理由
- 測量図または公図のコピー
不動産鑑定評価との違い・使い分け
相続税評価(路線価方式)の限界
路線価による相続税評価は、画一的な補正率を使うため、土地の個別事情を十分に反映できない場合があります。
路線価評価の限界
- 極端に不整形な土地でも、補正率は0.60が下限
- 崖地、高低差、騒音など複合的な減価要因を反映しにくい
- 市場で売れない価格になることがある
不動産鑑定評価を検討すべきケース
以下のケースでは、不動産鑑定評価を検討する価値があります。
-
かげ地割合が65%を超える土地
- 路線価評価では補正率0.60が限界だが、鑑定評価ではさらに減額できる可能性
-
複合的な減価要因がある土地
- 不整形+崖地、不整形+騒音など
-
市場価格が路線価評価を大きく下回る土地
- 実際に売れない価格で評価されている場合
-
評価額が1億円を超える土地
- 鑑定費用(数十万円)を払っても、節税効果が大きい
不動産鑑定評価で評価減できた実例
事例:極端に不整形な土地
- 路線価評価:8,000万円(不整形地補正率0.60適用)
- 鑑定評価:5,500万円
- 評価減:2,500万円
この土地は、かげ地割合が70%を超える極端な不整形地でした。路線価評価では0.60が限界でしたが、鑑定評価では市場性の低さを反映して、さらに30%以上の減額が認められました。
コストと効果の目安
| 鑑定費用 | 期待できる評価減 | 損益分岐点 |
|---|---|---|
| 20〜30万円 | 500万円以上 | 評価額5,000万円以上の土地 |
| 30〜50万円 | 1,000万円以上 | 評価額1億円以上の土地 |
鑑定費用は土地の規模や複雑さによって異なります。評価額が大きい土地ほど、鑑定評価を検討する価値があります。
具体的な評価減シミュレーション
シミュレーション①:台形の土地(かげ地割合20%)
前提条件
- 土地形状:台形
- 不整形地面積:180平米
- 想定整形地面積:225平米
- 路線価:20万円/平米
- 地区区分:普通住宅地区(地積区分A)
計算
- かげ地割合:(225 - 180) ÷ 225 = 20%
- 不整形地補正率:0.94(普通住宅地区、地積区分A、かげ地割合20%)
- 整形地評価額:20万円 × 180平米 = 3,600万円
- 不整形地評価額:3,600万円 × 0.94 = 3,384万円
- 評価減額:216万円
シミュレーション②:L字型の土地(かげ地割合40%)
前提条件
- 土地形状:L字型
- 不整形地面積:200平米
- 想定整形地面積:333平米
- 路線価:25万円/平米
- 地区区分:普通住宅地区(地積区分A)
計算
- かげ地割合:(333 - 200) ÷ 333 = 40%
- 不整形地補正率:0.85(普通住宅地区、地積区分A、かげ地割合40%)
- 整形地評価額:25万円 × 200平米 = 5,000万円
- 不整形地評価額:5,000万円 × 0.85 = 4,250万円
- 評価減額:750万円
シミュレーション③:旗竿地(かげ地割合50%以上)
前提条件
- 土地形状:旗竿地(通路部分2m×15m=30平米、有効宅地部分100平米)
- 不整形地面積:130平米
- 想定整形地面積:280平米
- 路線価:30万円/平米
- 地区区分:普通住宅地区(地積区分A)
計算
- かげ地割合:(280 - 130) ÷ 280 = 53.6%
- 不整形地補正率:0.79(普通住宅地区、地積区分A、かげ地割合50%以上)
- 整形地評価額:30万円 × 130平米 = 3,900万円
- 不整形地評価額:3,900万円 × 0.79 = 3,081万円
- 評価減額:819万円
旗竿地は通路部分の利用効率が低いため、かげ地割合が大きくなり、大幅な評価減が期待できます。
不動産鑑定士の視点:不整形地評価の実務ノウハウ
現地調査で確認すべきポイント
不整形地の評価では、現地調査が重要です。以下のポイントを確認しましょう。
-
境界の確認
- 境界標があるか
- 隣地との境界に争いはないか
-
接道状況
- 道路の幅員は4m以上あるか
- 接道長さは2m以上あるか
-
高低差
- 道路との高低差はあるか
- 擁壁は必要か
-
建築制限
- 建ぺい率・容積率の制限
- 用途地域による制限
測量図がない場合の対処法
測量図がない場合は、以下の方法で面積を確認します。
-
登記簿面積を使用
- 原則として登記簿面積で評価
-
公図を参考に
- 大まかな形状は公図で確認可能
-
現況測量を依頼
- 土地の評価額が大きい場合は、測量費用(10〜30万円)をかけても価値あり
評価額を適正化する3つのアプローチ
不整形地の評価額を適正化するためのアプローチです。
1. 正確な測量
登記簿面積と実測面積が異なる場合、実測面積で評価することで評価額が下がる可能性があります。
2. 最適な評価方法の選択
4つの評価方法をすべて計算し、最も有利な方法を選びましょう。
3. 他の補正率の適用
不整形地補正率だけでなく、奥行価格補正率、間口狭小補正率など、適用できる補正率をすべて検討しましょう。
専門家への依頼が必要なケース
以下のケースでは、税理士や不動産鑑定士への相談をおすすめします。
- 土地の評価額が5,000万円を超える
- かげ地割合が50%を超える
- 複数の減価要因がある(不整形+崖地など)
- 評価方法の選択に迷う
- 税務調査で否認されるリスクを減らしたい
土地評価の詳細は「不動産の相続税評価額:路線価方式と倍率方式の計算方法を徹底解説」もご覧ください。
よくある質問
Q1. 不整形地補正率と奥行長大補正率は併用できますか?
いいえ、併用できません。不整形地補正率と奥行長大補正率は選択適用です。どちらか評価額が低くなる方を選んで適用します。一方、不整形地補正率と間口狭小補正率は掛け合わせて計算できます(下限0.60)。
Q2. 路線価がない地域(倍率地域)の不整形地はどう評価しますか?
倍率地域では、固定資産税評価額に倍率を掛けて評価するため、不整形地補正率は適用できません。固定資産税評価額にすでに土地の形状が反映されていると考えられるためです。ただし、固定資産税評価額が適正でない場合は、不動産鑑定評価を検討する価値があります。
Q3. 旗竿地の想定整形地はどう取りますか?
旗竿地の場合、通路部分(竿の部分)と有効宅地部分(旗の部分)を含めた全体を囲む長方形を想定整形地とします。通路部分は利用効率が低いため、かげ地割合が大きくなり、大幅な評価減が期待できます。
Q4. かげ地割合が10%未満の場合、補正率は適用されますか?
かげ地割合が10%未満の場合、不整形地補正率は1.00となり、減額はありません。ただし、他の補正率(奥行価格補正率、間口狭小補正率など)が適用できる場合があります。
Q5. 不整形地の評価は自分でできますか?
基本的な計算は自分でも可能です。ただし、想定整形地の取り方や評価方法の選択を間違えると、税務調査で否認されるリスクがあります。評価額が大きい土地や、形状が複雑な土地は、税理士や不動産鑑定士に相談することをおすすめします。
まとめ
不整形地の相続税評価について、重要なポイントをまとめます。
不整形地評価の3つのポイント
-
かげ地割合を正確に計算する
- 想定整形地を正しく取り、計算過程を図面で残す
-
4つの評価方法を比較検討する
- 区分整形地方式、計算上の奥行距離方式、近似整形地方式、差引計算方式
- 最も評価額が低くなる方法を選択
-
税務調査対策を忘れない
- 根拠資料を準備・保存
- 評価額が大きい場合は専門家に相談
次にやるべきこと
-
路線価図で地区区分を確認
- 国税庁のウェブサイトで確認できます
-
土地の測量図または公図を取得
- 法務局で取得可能
-
かげ地割合を計算
- 想定整形地を正しく取り、計算
-
4つの評価方法で比較
- 最も有利な方法を選択
-
必要に応じて専門家に相談
- 評価額が大きい場合、形状が複雑な場合
不整形地の評価は複雑ですが、正しく評価することで大きな節税効果が得られます。この記事を参考に、適正な評価を行ってください。
相続税の基礎については「相続税はいくらから課税される?基礎控除・申告期限を徹底解説」、小規模宅地等の特例との併用については「小規模宅地等の特例を最大限活用する方法」もご覧ください。

北原 崇寛
不動産鑑定士・宅地建物取引士
大手不動産鑑定会社で裁判鑑定・証券化案件・担保評価等を担当後、東証一部上場不動産会社にて不動産訴訟アドバイザリー、法律・税制面からの不動産有効活用コンサルティングに従事。2020年北原不動産鑑定士事務所開業。


