相続税はいくらから課税される?基礎控除・申告期限・必要書類を徹底解説【2025年最新版】

この記事の結論
相続税は10人に1人が課税対象(2022年、課税割合10.0%)となり、身近な税金となっています。基礎控除額は「3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数」で、相続人2人なら4,200万円まで非課税です。申告期限は死亡を知った日の翌日から10ヶ月以内で、期限を過ぎると加算税・延滞税がかかります。
不動産の評価額が相続税に大きく影響します。 土地の形状が複雑な場合、不整形地補正や間口狭小補正などを適用することで評価額を適正化し、相続税を減額できるケースがあります(事例: 評価額を840万円減額、相続税80万円の節税)。
1. 相続税とは?10人に1人が払う時代
1-1. 相続税の仕組み
相続税とは、亡くなった人(被相続人)から財産を相続した人(相続人)が支払う税金です。相続財産が一定額(基礎控除額)を超える場合に課税されます。
「相続税は富裕層だけの税金」と思われがちですが、実際には2015年の税制改正で基礎控除額が40%削減されたことにより、多くの方が課税対象となる時代になっています。
1-2. 課税割合10%の意味
最新データ(2022年):
- 死亡者数: 156.9万人
- 相続税申告件数: 約15.9万件
- 課税割合: 10.0%(初めて10%を突破)
つまり、10人に1人が相続税を払う時代になりました。2015年の税制改正前(2014年)の課税割合は約4.4%でしたが、基礎控除額の引き下げにより、課税対象者が倍以上に増加しました。
地域別の課税割合(2022年):
- 東京都: 16-18%(5-6人に1人)
- 神奈川県: 13-15%
- 大阪府: 11-13%
- 愛知県: 10-12%
- 地方: 5-8%
都市部では、特に不動産価格が高いため、より多くの人が相続税の対象となっています。「自分には関係ない」と思っていても、実家の土地が意外に高く評価されるケースは少なくありません。
(情報源: 国税庁「令和4年分相続税の申告事績の概要」)
2. 相続税がいくらからかかるか:基礎控除の計算
2-1. 基礎控除額の計算式
相続税の基礎控除額は以下の式で計算します:
基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
重要ポイント:
- この計算式は2015年1月1日以降、変更なし(2024年〜2025年も同じ)
- 2014年12月31日以前は「5,000万円 + 1,000万円 × 法定相続人の数」でした
- つまり、改正により基礎控除額が約40%削減されました
2-2. 法定相続人の数え方
法定相続人とは、民法で定められた相続権を持つ人のことです。基礎控除額の計算に用いる「法定相続人の数」は、実際に相続を放棄した人も含めてカウントします。
法定相続人の順位:
配偶者
常に法定相続人となります(最優先)
第1順位:子
配偶者と子が相続人となります。子が既に亡くなっている場合は孫(代襲相続)
第2順位:親
子(孫)がいない場合、配偶者と親が相続人となります
第3順位:兄弟姉妹
子(孫)も親もいない場合、配偶者と兄弟姉妹が相続人となります
養子の扱い:
- 実子がいる場合: 養子は1人まで法定相続人としてカウント
- 実子がいない場合: 養子は2人まで法定相続人としてカウント
2-3. 具体例
相続人2人(配偶者 + 子1人)の場合:
基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 2 = 4,200万円
→ 相続財産が4,200万円以下なら相続税はかかりません。
相続人3人(配偶者 + 子2人)の場合:
基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 3 = 4,800万円
→ 相続財産が4,800万円以下なら相続税はかかりません。
相続人4人(配偶者 + 子3人)の場合:
基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 4 = 5,400万円
→ 相続財産が5,400万円以下なら相続税はかかりません。
相続人1人(配偶者のみ、または子1人のみ)の場合:
基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 1 = 3,600万円
→ 相続財産が3,600万円以下なら相続税はかかりません。
2-4. あなたは相続税がかかる?かからない?【判定フローチャート】
以下のステップで確認してください:
Step 1: 法定相続人の数を確認
- 配偶者がいれば必ず相続人
- 子がいれば子が相続人(第1順位)
- 子がいなければ親が相続人(第2順位)
- 子も親もいなければ兄弟姉妹が相続人(第3順位)
- 相続放棄した人も法定相続人の数に含める
Step 2: 基礎控除額を計算
- 上記の計算式(3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数)で算出
Step 3: 相続財産の総額を計算
以下を合計します:
- 現金・預金
- 有価証券(株式、投資信託など)
- 不動産(土地・建物)→ 相続税評価額で計算
- 死亡保険金(非課税枠: 500万円 × 法定相続人の数を超える部分)
- 死亡退職金(非課税枠: 500万円 × 法定相続人の数を超える部分)
- その他の財産(自動車、貴金属、骨董品など)
- 債務(マイナス):借入金、未払金など
Step 4: 比較して判定
- 相続財産の総額 > 基礎控除額 → 相続税がかかる(申告が必要)
- 相続財産の総額 ≤ 基礎控除額 → 相続税はかからない(申告不要)
3. 相続税の計算方法(ステップ形式)
3-1. Step 1: 財産総額を計算する
含まれる財産:
- 現金・預金
- 有価証券(株式、投資信託、国債など)
- 不動産(土地・建物)→ 相続税評価額で計算(時価ではありません)
- 死亡保険金(非課税枠: 500万円 × 法定相続人の数を超える部分)
- 死亡退職金(非課税枠: 500万円 × 法定相続人の数を超える部分)
- 自動車、貴金属、骨董品など
含まれない財産:
- 墓地、墓石、仏壇、仏具、神棚
- 公益事業用財産
- 心身障害者共済制度に基づく給付金の受給権
債務控除: 以下の債務は財産総額から差し引けます:
- 借入金
- 未払金(医療費、税金など)
- 葬儀費用(通夜、告別式、火葬費用など。※香典返しは対象外)
3-2. Step 2: 基礎控除額を引く
課税遺産総額 = 財産総額 - 基礎控除額
課税遺産総額がマイナス(0円以下)なら相続税はかかりません。プラスの場合、次のステップに進みます。
3-3. Step 3: 税率を適用する
相続税の税率は10%〜55%の8段階(累進課税)です。
相続税の税率表:
| 法定相続分に応ずる取得金額 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 1,000万円以下 | 10% | - |
| 3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
| 5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
| 1億円以下 | 30% | 700万円 |
| 2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
| 3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
| 6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
| 6億円超 | 55% | 7,200万円 |
計算の手順:
- 課税遺産総額を法定相続分で按分
- 各相続人の取得金額に税率を適用
- 各相続人の相続税額を合計(相続税の総額)
- 実際の相続割合に応じて各相続人に按分
- 各種控除(配偶者控除など)を適用
3-4. 具体例で理解する
ケース1: 財産5,000万円、相続人2人(配偶者 + 子1人)
- 基礎控除額: 3,000万円 + 600万円 × 2 = 4,200万円
- 課税遺産総額: 5,000万円 - 4,200万円 = 800万円
- 法定相続分で按分:
- 配偶者: 800万円 × 1/2 = 400万円
- 子: 800万円 × 1/2 = 400万円
- 税率適用:
- 配偶者: 400万円 × 10% = 40万円
- 子: 400万円 × 10% = 40万円
- 相続税総額: 40万円 + 40万円 = 80万円
※配偶者の税額軽減(配偶者控除)を適用すれば、配偶者の相続税は0円になる可能性が高いです。
ケース2: 財産8,000万円、相続人3人(配偶者 + 子2人)
- 基礎控除額: 3,000万円 + 600万円 × 3 = 4,800万円
- 課税遺産総額: 8,000万円 - 4,800万円 = 3,200万円
- 法定相続分で按分:
- 配偶者: 3,200万円 × 1/2 = 1,600万円
- 子1: 3,200万円 × 1/4 = 800万円
- 子2: 3,200万円 × 1/4 = 800万円
- 税率適用:
- 配偶者: 1,600万円 × 15% - 50万円 = 190万円
- 子1: 800万円 × 10% = 80万円
- 子2: 800万円 × 10% = 80万円
- 相続税総額: 190万円 + 80万円 + 80万円 = 350万円
ケース3: 財産1億円、相続人2人(子2人、配偶者なし)
- 基礎控除額: 3,000万円 + 600万円 × 2 = 4,200万円
- 課税遺産総額: 1億円 - 4,200万円 = 5,800万円
- 法定相続分で按分:
- 子1: 5,800万円 × 1/2 = 2,900万円
- 子2: 5,800万円 × 1/2 = 2,900万円
- 税率適用:
- 子1: 2,900万円 × 15% - 50万円 = 385万円
- 子2: 2,900万円 × 15% - 50万円 = 385万円
- 相続税総額: 385万円 + 385万円 = 770万円
4. 不動産評価額が相続税に与える影響
4-1. 不動産評価額の重要性
相続財産の約40-50%は不動産(国税庁統計)です。不動産の評価額が100万円違うと、相続税は10万円〜55万円変わります(税率10%〜55%に応じて)。
つまり、不動産の評価額を適正に算定することが、相続税額に大きな影響を与えるのです。
不動産の評価方法:
- 土地: 路線価方式または倍率方式で評価
- 建物: 固定資産税評価額で評価
不動産の相続税評価額は、通常の市場価格(時価)とは異なる基準で計算されます。詳しくは、不動産の相続税評価額:路線価方式と倍率方式の計算方法を徹底解説をご覧ください。
4-2. 評価額を下げる方法(路線価の補正率)
相続税の計算では、土地の形状や立地条件により、路線価に以下の補正率を適用して評価額を算出します:
不整形地補正
土地の形が正方形や長方形でない場合、-10%〜-40%の補正
間口狭小補正
道路に面している部分(間口)が狭い場合、-5%〜-10%の補正
奥行長大補正
土地の奥行が長すぎる場合、-5%〜-10%の補正
がけ地補正
がけ地(傾斜地)がある場合、-10%〜-50%の補正
二方路線影響加算
二つの道路に接している場合、+2%〜+7%の加算(プラス評価)
ただし、土地の形状が複雑な場合や補正率の適用判断が難しいケースでは、不動産の専門家(不動産鑑定士・不動産コンサルタント)が土地の状況を詳細に分析し、適用可能な補正率を提案することで、評価額を適正化できる場合があります。
4-3. 【事例】土地の補正率適用で節税したケース
土地の補正率を適用することで節税できた事例をご紹介します。
物件概要:
- 土地面積: 150㎡
- 路線価: 20万円/㎡
- 形状: 不整形(台形)
- 間口: 狭小(4m)
当初の評価:
- 評価額: 150㎡ × 20万円/㎡ = 3,000万円(補正なし、または補正の適用漏れ)
不動産専門家のアドバイス後:
- 不整形地補正: -20%(台形の形状を詳細分析)
- 間口狭小補正: -10%(間口4mを確認)
- 適正化後の評価額: 3,000万円 × 0.8 × 0.9 = 2,160万円
- 評価額の減額: 840万円
節税効果の計算:
- 相続人: 配偶者 + 子1人(相続人2人)
- 基礎控除: 3,000万円 + 600万円 × 2 = 4,200万円
- その他財産: 現金2,000万円
節税効果:
- 当初の相続税: 約80万円
- 課税遺産総額: (3,000万円 + 2,000万円) - 4,200万円 = 800万円
- 適正化後の相続税: 0円(基礎控除内)
- 課税遺産総額: (2,160万円 + 2,000万円) - 4,200万円 = 0円
- 節税額: 80万円
このように、補正率を適切に適用することで、評価額を適正化し、大幅な節税が可能です。ただし、過度な補正は税務調査で否認される可能性があるため、適切な根拠に基づいた評価が重要です。
4-4. 小規模宅地等の特例でさらに評価額を下げる
不動産の評価額をさらに下げる方法として、「小規模宅地等の特例」があります。これは、被相続人が住んでいた土地や事業用の土地について、一定の要件を満たせば評価額を最大80%減額できる特例です。
例えば、評価額5,000万円の自宅土地(330㎡以下)に特例を適用すると:
- 特例適用前: 5,000万円
- 特例適用後: 5,000万円 × 20% = 1,000万円(80%減額)
- 評価額の減額: 4,000万円
小規模宅地等の特例について詳しくは、小規模宅地等の特例を最大限活用する方法をご覧ください。
また、マンションの相続税評価については、2024年の改正により計算方法が変更されています。詳細はマンション相続税評価額の計算方法をご覧ください。
5. 相続税の申告期限と手続き
5-1. 申告期限(死亡から10ヶ月)
相続税の申告期限は、被相続人の死亡を知った日の翌日から10ヶ月以内です。
例:
- 1月6日に死亡 → 11月6日が申告期限
- 7月20日に死亡 → 翌年5月20日が申告期限
- 期限日が土日祝日の場合 → 翌営業日が期限
注意点:
- 「死亡した日」ではなく「死亡を知った日」がスタート
- 通常は死亡した日と同じですが、海外在住などで連絡が遅れた場合は異なる可能性があります
- 10ヶ月は意外と短い。財産調査、遺産分割協議、評価額の算定などに時間がかかります
5-2. 申告が必要な人・不要な人
申告が必要な人
- 相続財産の総額 > 基礎控除額
申告が不要な人
- 相続財産の総額 ≤ 基礎控除額
特例を使う場合の注意
以下の特例を適用する場合、基礎控除額以下になっても申告が必要です:
- 小規模宅地等の特例
- 配偶者の税額軽減(配偶者控除)
つまり、これらの特例を適用して相続税が0円になる場合でも、申告書を提出しなければなりません。
5-3. 申告しないとどうなるか(ペナルティ)
申告期限までに申告しない場合、以下のペナルティがかかります:
無申告加算税
本来の税額の15%〜20%(税務調査前に自主申告すれば5%)
延滞税
年率7.3%〜14.6%(期間により異なる)。申告期限の翌日から納付日まで日割り計算
過少申告加算税
申告額が少なかった場合、不足額の10%〜15%
重加算税
意図的に隠蔽・仮装した悪質な場合、本来の税額の35%〜40%
実例:
- 本来の相続税: 500万円
- 期限後申告(税務調査後)の場合: 500万円 + 無申告加算税100万円(20%)+ 延滞税約50万円(1年後)= 合計約650万円
期限内に正しく申告することが、結果的に最も経済的です。
5-4. 相続登記義務化(2024年4月施行)
相続税とは別に、2024年4月1日より、相続による不動産の取得を知った日から3年以内に登記が義務化されました。
登記しない場合、10万円以下の過料が科されます。
主なポイント
- 施行前(2024年3月31日以前)の相続も対象
- 施行前の相続については、2027年3月31日までに登記すればOK
- 相続人申告登記という簡易な手続きも可能
相続税申告と併せて、相続登記も忘れずに行いましょう。詳しくは相続登記義務化の注意点と罰則をご覧ください。
6. 相続税申告に必要な書類
6-1. 必要書類リスト【チェックリスト】
相続税の申告には多くの書類が必要です。早めに準備を始めましょう。
基本的な書類
- 相続税の申告書(税務署で入手、または国税庁サイトからダウンロード)
- 被相続人の戸籍謄本(出生から死亡まで)
- 相続人全員の戸籍謄本
- 相続人全員の印鑑証明書
- 遺産分割協議書(遺言書がない場合)
- 遺言書(ある場合)
- 相続人全員のマイナンバーカード(または通知カード + 本人確認書類)
財産関連の書類
- 預貯金の残高証明書(死亡日現在)
- 有価証券の評価証明書(株式、投資信託など)
- 不動産の登記事項証明書(登記簿謄本)
- 不動産の固定資産税評価証明書
- 路線価図(土地の評価用、国税庁サイトで入手可能)
- 生命保険金の支払通知書
- 死亡退職金の支払通知書
- 自動車の車検証、査定書
その他
- 葬儀費用の領収書(通夜、告別式、火葬費用など)
- 債務の証明書(借入金残高証明書など)
- 未払金の証明書(医療費、税金など)
6-2. 取得方法と費用
| 書類 | 取得先 | 費用 | 取得日数 |
|---|---|---|---|
| 戸籍謄本 | 市区町村役場 | 450円/通 | 即日〜1週間 |
| 印鑑証明書 | 市区町村役場 | 300円/通 | 即日 |
| 登記事項証明書 | 法務局(オンライン可) | 600円/通(窓口)、500円/通(オンライン) | 即日〜3日 |
| 固定資産税評価証明書 | 市区町村役場 | 300円/通 | 即日 |
| 残高証明書 | 金融機関 | 500円〜1,000円/通 | 即日〜1週間 |
| 評価証明書(有価証券) | 証券会社 | 無料〜3,000円/社 | 1週間〜2週間 |
6-3. 書類準備のスケジュール
10ヶ月は意外と短いため、計画的に進めることが重要です。
死亡後1ヶ月以内
- 戸籍謄本、印鑑証明書の取得
- 相続人の確定
- 遺言書の有無を確認
死亡後3ヶ月以内
- 財産調査、負債調査
- 必要書類の収集開始
- 相続放棄の検討・手続き(必要な場合)
死亡後6ヶ月以内
- 遺産分割協議
- 不動産の評価
- 有価証券の評価
死亡後9ヶ月以内
- 申告書の作成
- 税理士への依頼(必要な場合)
死亡後10ヶ月以内
- 申告・納税(期限厳守)
7. よくある質問(FAQ)
Q1. 相続税がかからない場合でも申告は必要?
A: 基本的に不要ですが、以下の場合は申告が必要です:
- 小規模宅地等の特例を適用する場合
- 配偶者の税額軽減(配偶者控除)を適用する場合
これらの特例を使って税額が0円になる場合でも、申告書を提出しなければ特例は適用されません。
Q2. 申告期限を過ぎたらどうなる?
A: 以下のペナルティがかかります:
- 無申告加算税: 15%〜20%(税務調査前に自主申告すれば5%)
- 延滞税: 年率7.3%〜14.6%
期限を過ぎた場合でも、できるだけ早く申告しましょう。1日遅れるごとに延滞税が増えていきます。
Q3. 税理士に依頼すべき?費用は?
A: 以下の場合は税理士への依頼を推奨します:
- 相続財産が1億円以上
- 不動産が複数ある
- 相続人が多い(4人以上)
- 遺産分割が複雑
- 小規模宅地等の特例を使いたい
税理士費用の相場:
- 基本報酬: 相続財産の0.5%〜1.0%
- 例: 相続財産5,000万円 → 25万円〜50万円
- 例: 相続財産1億円 → 50万円〜100万円
税理士に依頼するメリット:
- 評価額の適正化により相続税を減額できる可能性
- 申告ミスによるペナルティのリスク回避
- 税務調査の対応
Q4. 不動産の評価額がわからない場合は?
A: 以下の方法で確認できます:
- 土地: 路線価図(国税庁ホームページ)で確認。路線価に土地面積を掛けて概算を算出
- 建物: 固定資産税納税通知書に記載されている固定資産税評価額を使用
評価額の適正化(補正率の適用)を検討する場合は、不動産鑑定士への相談をおすすめします。適切な補正により、数十万円〜数百万円の節税が可能なケースもあります。
Q5. 現金がなく相続税が払えない場合は?
A: 以下の方法があります:
延納
分割払い制度。年率1.2%〜6.0%の利子税がかかります。最長20年(不動産の割合により異なる)
物納
不動産などで納税する制度。ただし、以下の条件があります:
- 延納でも納税が困難
- 物納に適した財産がある(不動産、国債、株式など)
- 管理処分不適格財産でないこと
不動産の売却
相続した不動産を売却して納税資金を確保。相続税の申告期限から3年以内に売却すれば「相続税の取得費加算の特例」により譲渡所得税が軽減されます。
Q6. よくある誤解と正しい知識
| 誤解 | 正しい情報 |
|---|---|
| ❌ 「相続税は全員が払う」 | ✅ 10人に1人(10%)のみが課税対象 |
| ❌ 「相続税は3,000万円から課税される」 | ✅ 基礎控除は「3,000万円 + 600万円 × 相続人数」 |
| ❌ 「死亡保険金は相続税がかからない」 | ✅ 非課税枠(500万円 × 相続人数)を超える部分は課税 |
| ❌ 「相続税の申告期限は1年」 | ✅ 死亡を知った日の翌日から10ヶ月以内 |
| ❌ 「土地は固定資産税評価額で相続税を計算する」 | ✅ 路線価または倍率方式で評価(固定資産税評価額ではない) |
| ❌ 「相続税は相続人の住所地の税務署に申告する」 | ✅ 被相続人(亡くなった人)の住所地を所轄する税務署 |
| ❌ 「相続税がかからなければ何もしなくていい」 | ✅ 小規模宅地特例などを使う場合は申告が必要 |
Q7. 相続人の中に未成年者や海外在住者がいる場合は?
A: 以下の対応が必要です:
未成年者
- 親権者が代理人となる
- 親権者も相続人の場合は利益相反となるため、特別代理人を家庭裁判所に選任してもらう必要がある
海外在住者
- 納税管理人を定める必要がある
- 遺産分割協議書にサイン証明(在外公館で取得)を添付
Q8. 相続税と贈与税の違いは?
A: 以下の通り異なります:
| 項目 | 相続税 | 贈与税 |
|---|---|---|
| タイミング | 死亡後 | 生前 |
| 基礎控除 | 3,000万円 + 600万円 × 相続人数 | 110万円/年 |
| 税率 | 10%〜55%(8段階) | 10%〜55%(8段階、一般贈与・特例贈与で異なる) |
| 申告期限 | 死亡後10ヶ月 | 贈与を受けた年の翌年3月15日 |
生前贈与を活用することで相続税を減らすことも可能ですが、2024年の税制改正により、死亡前7年以内の贈与は相続財産に加算されることになりました(段階的に適用)。
8. まとめ
相続税は10人に1人が課税対象となり、身近な税金となっています。以下のポイントを押さえておきましょう:
基礎控除額の計算
3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
- 相続人2人なら4,200万円
- 相続人3人なら4,800万円
- この金額以下なら相続税はかかりません
申告期限は10ヶ月
死亡を知った日の翌日から10ヶ月以内に申告・納税。期限を過ぎると加算税・延滞税がかかります。
不動産評価の重要性
評価額を適正化することで大幅な節税が可能(実例: 評価額840万円減額、相続税80万円節税)。不整形地補正や間口狭小補正などの適用を検討しましょう。
特例の活用
- 小規模宅地等の特例: 評価額を最大80%減額
- 配偶者の税額軽減: 配偶者の相続税を大幅に軽減
- ただし、これらの特例を使う場合は申告が必須
相続登記義務化
2024年4月施行。3年以内に登記しないと10万円以下の過料。相続税申告と併せて対応しましょう。
よくある誤解の訂正
「相続税は全員が払う」は誤解。10人に1人のみが課税対象です。ただし、都市部では5-6人に1人と割合が高くなります。
相続税がかかるかどうか不安な場合は、早めに専門家に相談することをおすすめします。特に不動産の評価額については、不動産鑑定士の専門的な視点で適正化することで、大幅な節税が実現できます。
また、財産調査、遺産分割協議、評価額の算定、申告書の作成など、10ヶ月という期限内にやるべきことは多岐にわたります。相続が発生したら、できるだけ早く行動を開始しましょう。

北原 崇寛
不動産鑑定士・宅地建物取引士
大手不動産鑑定会社で裁判鑑定・証券化案件・担保評価等を担当後、東証一部上場不動産会社にて不動産訴訟アドバイザリー、法律・税制面からの不動産有効活用コンサルティングに従事。2020年北原不動産鑑定士事務所開業。


