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相続税申告を税理士に依頼する費用と選び方:報酬相場から専門家の見極めまで

相続税申告を税理士に依頼する費用と選び方:報酬相場から専門家の見極めまで
公開: 2025-11-05

この記事の結論

相続税申告を税理士に依頼する費用は、遺産総額の0.5%〜1.5%が一般的な相場です。例えば、遺産総額5,000万円で25万円〜75万円、1億円で50万円〜150万円程度となります。ただし、不動産評価が複雑な場合や相続人数が多い場合は追加費用が発生します。

税理士選びで最も重要なのは、相続税申告の実績件数と不動産評価の専門性です。特に不動産が相続財産の大部分を占める場合、不動産鑑定士と連携できる税理士を選ぶことで、適正な評価による節税効果が期待できます。実際に、適切な不動産評価により数百万円から数千万円の節税につながるケースもあります。

この記事では、税理士報酬の相場と内訳、自分で申告できるかの判断基準、失敗しない税理士の選び方を、不動産鑑定士の実務経験を基に詳しく解説します。

相続税申告を税理士に依頼すべきケース

相続税の申告は、自分で行うことも可能ですが、ケースによっては税理士に依頼した方が安心・確実です。まずは、自分で申告できるケースと税理士に依頼すべきケースを見ていきましょう。

自分で申告できるケース

以下の条件がすべて当てはまる場合、自分で申告することも可能です。

条件1:遺産が現金・預貯金のみ

不動産や有価証券が含まれず、評価が簡単な場合は、自分で申告しやすいでしょう。現金や預貯金の評価額は明確で、評価ミスのリスクが低いためです。

条件2:遺産総額が基礎控除額に近い

相続税はいくらから課税される?の記事でも解説していますが、基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です。遺産総額が基礎控除額に近く、相続税額が少ない場合は、自分で申告しても大きな問題にはなりにくいでしょう。

条件3:時間と知識がある

相続税の申告には、税法の知識と十分な時間が必要です。税務に関する基礎知識があり、申告期限(10ヶ月以内)まで余裕がある場合は、自分で申告することも選択肢の一つです。

条件4:相続人間に争いがない

遺産分割協議がスムーズに進み、相続人全員が合意している場合は、手続きが複雑化しません。相続人間のトラブルがないことも、自分で申告する際の重要な条件です。

税理士に依頼すべきケース

一方、以下のいずれかに当てはまる場合は、税理士への依頼を強くおすすめします。

ケース1:不動産が含まれる

不動産の評価は非常に複雑です。土地の形状、立地、用途地域など、多くの要素を考慮して評価額を算定する必要があります。不動産の相続税評価額の記事でも詳しく解説していますが、評価方法を間違えると、過大申告や過少申告につながります。

ケース2:遺産総額が1億円以上

遺産総額が大きい場合、相続税額も高額になります。評価ミスによる影響が大きいため、専門家に依頼するメリットが高まります。

ケース3:小規模宅地等の特例を適用する

小規模宅地等の特例を最大限活用する方法の記事で解説している通り、この特例は適用要件が複雑です。適用できれば大幅な節税効果がありますが、適用要件を満たしているかの判断には専門知識が必要です。

ケース4:相続人が多い(3人以上)

相続人が多いと、遺産分割協議が複雑化します。また、相続税の申告書も複雑になるため、税理士のサポートがあると安心です。

ケース5:申告期限まで時間がない

相続税の申告期限は、被相続人の死亡を知った日の翌日から10ヶ月以内です。すでに期限が迫っている場合、自分で申告するのは困難です。税理士に依頼することで、期限内に確実に申告できます。

税理士に依頼するメリット

税理士に依頼することで、以下のようなメリットが得られます。

メリット1:適正な評価による節税効果

特に不動産評価において、税理士の専門性が発揮されます。適切な補正率の適用や特例の活用により、数百万円から数千万円の節税効果が期待できるケースもあります。

メリット2:税務調査のリスク低減

税理士が作成した申告書は、税務署からの信頼性が高まります。また、書面添付制度を利用することで、税務調査を受ける確率を下げることも可能です。

メリット3:手続きの負担軽減

相続税の申告には、多くの書類収集と複雑な計算が必要です。税理士に依頼することで、これらの負担から解放されます。

メリット4:専門知識による安心感

税法は頻繁に改正されます。最新の税制に精通した税理士に依頼することで、安心して申告を進められます。

自分で申告する場合のリスク

自分で申告する場合、以下のようなリスクがあります。

リスク1:評価額のミスによる過払い・追徴課税

不動産の評価額を誤ると、相続税を過大に納めてしまうか、逆に過少申告で追徴課税を受けるリスクがあります。

過少申告の場合:過少申告加算税(不足税額の10%〜15%)と延滞税が課されます。例えば、不足税額が100万円の場合、ペナルティは10万円〜25万円程度です。

過大申告の場合:余分に支払った相続税を取り戻すには、更正の請求(申告期限から5年以内)が必要です。期限を過ぎると取り戻せません。

リスク2:特例適用の失念

小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減など、節税効果の高い特例を適用し忘れるリスクがあります。これらの特例を適用できれば、数百万円〜数千万円の節税効果があるため、適用漏れは大きな損失です。

リスク3:税務調査を受ける可能性の増加

税理士が作成した申告書と比べて、自分で作成した申告書は税務調査を受ける確率が高くなります。相続税申告の約10%〜20%が税務調査の対象となりますが、税理士が書面添付制度を利用すれば、この確率を下げることができます。

税理士報酬の相場と内訳

税理士に依頼する場合、費用がどれくらいかかるのか気になるところです。ここでは、遺産総額別の基本報酬相場と、追加費用が発生するケースを詳しく解説します。

遺産総額別の基本報酬相場

税理士報酬は、遺産総額に応じて変動するのが一般的です。相場は遺産総額の0.5%〜1.5%程度ですが、税理士事務所によって料金体系は異なります。

報酬相場一覧表

遺産総額 報酬相場 遺産総額に対する割合
5,000万円未満 20万円〜40万円 0.4%〜0.8%
5,000万円〜7,000万円 25万円〜50万円 0.5%〜0.7%
7,000万円〜1億円 30万円〜60万円 0.4%〜0.6%
1億円〜1.5億円 50万円〜90万円 0.5%〜0.6%
1.5億円〜2億円 70万円〜120万円 0.5%〜0.6%
2億円〜3億円 100万円〜180万円 0.5%〜0.6%
3億円〜5億円 150万円〜300万円 0.5%〜0.6%
5億円以上 別途見積もり 0.5%〜1.0%

注意点

上記は基本報酬であり、追加費用は別途発生します。また、税理士事務所によって料金体系は大きく異なるため、複数の税理士から見積もりを取ることをおすすめします。

都市部と地方で料金差があり、都市部の方が1.2〜1.5倍程度高くなる傾向があります。

報酬体系の種類

税理士事務所によって、報酬体系は異なります。主な報酬体系を理解し、自分に合った体系を選びましょう。

定額報酬制(最も一般的)

遺産総額に応じた定額料金を設定する方式です。

メリット

  • 費用が明確で予算を立てやすい
  • 追加費用が少ない(明確な範囲内であれば)
  • 最も多くの税理士事務所が採用している

デメリット

  • 複雑な案件でも同額の場合、サービスの質が下がる可能性がある
  • 簡単な案件でも割高になる場合がある

成功報酬制

節税額の10%〜40%を報酬とする方式です。

メリット

  • 税理士の頑張りが報酬に反映される
  • 節税効果が大きければ、費用対効果が高い
  • 初期費用が抑えられる場合がある

デメリット

  • 最終的な報酬が不透明
  • 節税額の計算基準があいまいな場合がある
  • 高額になる可能性がある

タイムチャージ制

1時間あたりの単価×作業時間で計算する方式です。

メリット

  • 公平性が高い
  • 作業内容が明確

デメリット

  • 最終的な費用が読めない
  • 作業時間の妥当性を判断しにくい
  • あまり一般的ではない

基本報酬+成功報酬の併用

定額の基本報酬に加えて、節税額の一部を成功報酬とする方式です。

メリット

  • バランスが良い
  • 税理士の頑張りを評価できる
  • 基本報酬があるため、一定のサービス品質が期待できる

デメリット

  • 計算が複雑
  • 総額が高くなる可能性がある

追加費用が発生するケース

基本報酬に含まれない追加費用が発生するケースを確認しましょう。契約前に、どのような場合に追加費用が発生するかを明確にしておくことが重要です。

土地評価の追加費用

土地の評価は、形状や立地により評価が複雑になります。複雑な土地評価には追加費用がかかることが一般的です。

土地の種類 追加費用相場
標準的な宅地 3万円〜5万円/筆
不整形地、間口狭小 5万円〜8万円/筆
広大地、地積規模の大きな宅地 10万円〜20万円/筆
がけ地、傾斜地 8万円〜15万円/筆
貸地、借地権 5万円〜10万円/筆

土地が複数ある場合、筆数に応じて追加費用が加算されます。

相続人数による追加費用

多くの税理士事務所では、相続人3人までを基準として、それ以上増えると追加費用が発生します。

追加料金の目安

  • 基準:相続人3人まで基本料金
  • 追加料金:1人増えるごとに2万円〜5万円加算

相続人が多いと、遺産分割協議書の作成や税額計算が複雑になるため、追加費用が発生します。

その他の追加費用

申告期限まで3ヶ月未満の場合

急ぎの案件は、20%〜50%の割増料金が発生することがあります。申告期限が迫っている場合、税理士も優先的に対応する必要があるため、割増料金は避けられません。

税務調査への立ち会い

税務調査が入った場合、税理士の立ち会いには追加費用がかかります。1日あたり5万円〜10万円が相場です。

書面添付制度の利用

書面添付制度を利用すると、税務調査のリスクを低減できます。利用費用は5万円〜10万円程度です。

準確定申告

被相続人の確定申告(準確定申告)を税理士に依頼する場合、5万円〜10万円程度の費用がかかります。

不動産評価が複雑な場合の追加費用

不動産評価が特に複雑な場合、不動産鑑定士の意見書や鑑定評価書が必要になることがあります。

不動産鑑定士の意見書・鑑定評価書

意見書作成費用:10万円〜50万円(案件により変動)

簡易的な評価意見書で、税理士の評価を補強する資料として活用されます。

正式な不動産鑑定評価:30万円〜100万円

税務署に対して正式な評価根拠を示す場合や、複雑な土地の評価に使用されます。

費用対効果

不動産鑑定士の意見書は費用がかかりますが、節税効果を考えると非常に有効です。

具体例

  • 意見書費用:10万円〜50万円
  • 節税効果:数百万円〜数千万円
  • 費用対効果:10倍〜100倍

広大地や不整形地など、評価が難しい土地を適正に評価することで、大幅な節税につながるケースがあります。

自分で申告 vs 税理士依頼の判断基準

自分で申告すべきか、税理士に依頼すべきか迷っている方も多いでしょう。ここでは、判断基準と費用対効果について解説します。

判断フローチャート

以下のフローチャートを参考に、自分のケースを確認してみましょう。

Q1:遺産に不動産は含まれますか?

  • YES → Q2へ
  • NO → Q3へ

Q2:不動産は複雑ですか?(不整形地、広大地、貸地など)

  • YES → 【税理士に依頼すべき】
  • NO → Q3へ

Q3:遺産総額は1億円以上ですか?

  • YES → 【税理士に依頼すべき】
  • NO → Q4へ

Q4:小規模宅地等の特例を適用しますか?

  • YES → 【税理士に依頼すべき】
  • NO → Q5へ

Q5:相続人は4人以上いますか?

  • YES → 【税理士に依頼すべき】
  • NO → 【自分で申告も可能(ただし慎重に)】

費用対効果の比較

税理士に依頼する費用と、得られる節税効果を比較してみましょう。

ケース1:遺産総額8,000万円(不動産5,000万円、預貯金3,000万円)

税理士報酬:30万円〜60万円

節税効果(適正な不動産評価):100万円〜300万円

不動産の評価を適正に行い、小規模宅地等の特例を適用することで、100万円以上の節税効果が期待できます。

費用対効果:2倍〜10倍

税理士報酬を支払っても、十分に元が取れる計算です。

ケース2:遺産総額1.5億円(不動産1億円、預貯金5,000万円、複雑な土地評価)

税理士報酬:70万円〜120万円

不動産鑑定士意見書:20万円〜50万円

節税効果(広大地評価、小規模宅地特例):500万円〜1,500万円

広大地や不整形地の評価を適切に行い、小規模宅地等の特例を最大限活用することで、大幅な節税が可能です。

費用対効果:5倍〜15倍

不動産鑑定士の意見書を活用することで、さらに節税効果が高まります。

自分で申告するリスクの定量化

自分で申告する場合のリスクを、具体的な金額で確認しましょう。

過少申告のリスク

不動産の評価を誤って過少申告してしまった場合、以下のペナルティが発生します。

過少申告加算税:不足税額の10%〜15%

延滞税:年2.4%〜8.7%

具体例

不足税額が100万円の場合、ペナルティは10万円〜25万円程度です。さらに、延滞税が年月の経過とともに増えていきます。

過大申告のリスク

不動産の評価を誤って過大申告してしまった場合、余分に相続税を支払うことになります。

取り戻す方法:更正の請求

期限:申告期限から5年以内

失敗例

不動産評価のミスで500万円過払い → 気づかず期限切れ → 取り戻せない

過大申告のリスクは、過少申告のようなペナルティはありませんが、余分に支払った税金を取り戻せなくなる可能性があります。

相続税に強い税理士の選び方

税理士といっても、専門分野は様々です。法人税や所得税を専門とする税理士も多く、相続税の経験が少ない税理士も少なくありません。ここでは、相続税に強い税理士を見極めるポイントを解説します。

専門性・実績の確認

相続税申告の実績件数は、税理士の専門性を測る重要な指標です。

相続税申告の実績件数の目安

年間10件以上:相続税専門と言える

法人税や所得税と並行して相続税も扱っている税理士ではなく、相続税を専門としている税理士です。

年間30件以上:豊富な経験

様々なケースに対応した経験があり、複雑な案件にも対応できます。

年間50件以上:大手専門事務所レベル

相続税専門の大手税理士法人などで、組織的に対応できる体制があります。

確認方法

ウェブサイトの実績紹介

税理士事務所のウェブサイトで、相続税申告の実績件数や事例を確認しましょう。

初回相談時に直接質問

「相続税申告は年間何件ほど経験されていますか?」と直接質問することが最も確実です。

日本税理士会連合会のウェブサイト

税理士の登録情報を確認できますが、専門分野までは記載されていないことが多いため、直接確認するのが確実です。

注意点

顧問税理士が相続税に不慣れなケースも多い

企業の顧問税理士として長年お世話になっている場合でも、相続税の経験が少ない可能性があります。顧問税理士だからといって安心せず、相続税の実績を確認しましょう。

法人税・所得税専門の税理士は相続税の経験が少ない可能性

税理士の専門分野は多岐にわたります。法人税や所得税を専門とする税理士が相続税も扱っている場合、経験が少ない可能性があります。

不動産評価の専門性

不動産が相続財産に含まれる場合、不動産評価の専門性が非常に重要です。

土地評価の経験

広大地、地積規模の大きな宅地の評価実績

広大地や地積規模の大きな宅地は、評価が複雑で専門知識が必要です。これらの評価実績がある税理士は、不動産評価に強いと言えます。

不整形地、間口狭小、がけ地の補正経験

土地の形状が複雑な場合、適切な補正率を適用することで評価額を下げることができます。これらの補正計算に慣れている税理士を選びましょう。

貸地、借地権、貸家建付地の評価経験

賃貸不動産や借地権が含まれる場合、権利関係を正確に評価する必要があります。これらの評価経験がある税理士は、複雑な案件にも対応できます。

不動産鑑定士との連携

提携している不動産鑑定士の有無

不動産鑑定士と提携している税理士は、複雑な土地評価に対応できる体制が整っています。

不動産鑑定士の意見書を取得した実績

過去に不動産鑑定士の意見書を活用した実績がある税理士は、不動産評価の重要性を理解しています。

複雑な土地評価での連携事例

広大地や不整形地など、複雑な土地評価で不動産鑑定士と連携した事例があれば、安心して依頼できます。

確認すべき質問

初回相談時に、以下の質問をしてみましょう。

  1. 「不動産評価の経験は年間何件ですか?」
  2. 「不動産鑑定士と連携したことはありますか?」
  3. 「広大地評価の実績はありますか?」
  4. 「不整形地の補正計算は得意ですか?」
  5. 「貸地・借地権の評価経験はありますか?」

これらの質問に対して、具体的な実績や事例を挙げて答えてくれる税理士は、不動産評価に強いと判断できます。

料金体系の透明性

税理士報酬の透明性は、信頼できる税理士かどうかを判断する重要なポイントです。

見積もり内容の確認ポイント

基本報酬の範囲(何が含まれているか)

基本報酬に何が含まれているのかを明確にしましょう。土地評価、相続税申告書の作成、税務署への提出など、どこまでがサービス範囲なのかを確認します。

追加費用が発生する条件(土地評価、相続人数など)

追加費用がどのような場合に発生するのかを、契約前に明確にしておきましょう。土地の筆数、相続人の人数、申告期限までの期間など、追加費用の発生条件を確認します。

支払いタイミング(着手金、成功報酬など)

いつ、どのような形で支払うのかを確認しましょう。着手金が必要な場合や、申告完了後に一括払いの場合など、税理士事務所によって支払いタイミングは異なります。

見積もりは「総額」で出してもらう

基本報酬だけでなく、追加費用も含めた総額を見積もりで出してもらうことが重要です。後から追加費用が発生して予算オーバーにならないように、総額を確認しましょう。

契約前に確認すべき事項

報酬の計算根拠

遺産総額のどの部分を基準に報酬を計算しているのか、計算根拠を確認しましょう。

追加費用の上限

追加費用に上限を設定してもらうことで、予算オーバーを防げます。

契約解除の条件

万が一、税理士との相性が合わなかった場合に備えて、契約解除の条件を確認しておきましょう。

税務調査対応の費用

税務調査が入った場合の対応費用を確認しましょう。書面添付制度を利用する場合の費用も含めて確認します。

コミュニケーション力とサービス品質

税理士との相性も重要です。相続税申告は長期間にわたるプロジェクトなので、コミュニケーションがスムーズに取れる税理士を選びましょう。

初回相談での確認事項

説明がわかりやすいか

専門用語を多用せず、わかりやすく説明してくれる税理士を選びましょう。相続税の知識がない方でも理解できるように説明してくれることが重要です。

質問に丁寧に答えてくれるか

疑問点や不安な点を質問したときに、丁寧に答えてくれるかを確認しましょう。質問をはぐらかしたり、面倒そうに対応する税理士は避けた方が良いでしょう。

こちらの状況を理解しようとしているか

相続の状況は人それぞれです。こちらの状況をしっかりヒアリングし、理解しようとしている税理士は信頼できます。

レスポンスの速さ

メールや電話の返信が早いかどうかも重要です。レスポンスが遅いと、申告期限に間に合わなくなるリスクがあります。

サービス品質の指標

書面添付制度の利用

書面添付制度を利用している税理士は、税務調査のリスクを減らす意識が高いと言えます。

税務署への事前相談の有無

複雑な案件では、税務署に事前相談を行うことがあります。税務署との調整に慣れている税理士は、税務調査のリスクを減らすことができます。

申告後のフォロー体制

申告後も、税務調査や更正の請求など、フォローが必要になることがあります。申告後のフォロー体制が整っている税理士を選びましょう。

初回相談でのチェックリスト

初回相談時に、以下の10項目を確認しましょう。

必ず確認すべき10項目

  1. ☐ 相続税申告の実績件数(年間何件?)
  2. ☐ 不動産評価の経験(特に複雑な土地)
  3. ☐ 不動産鑑定士との連携実績
  4. ☐ 報酬の総額見積もり(追加費用含む)
  5. ☐ 追加費用が発生する条件
  6. ☐ 支払いタイミング
  7. ☐ 申告期限までのスケジュール
  8. ☐ 税務調査への対応(書面添付制度)
  9. ☐ 担当者の変更の可能性
  10. ☐ 申告後のフォロー体制

これらの項目をチェックすることで、信頼できる税理士を選ぶことができます。

税理士選びの失敗事例と回避方法

税理士選びで失敗すると、余計な費用がかかったり、相続税を過大に納めてしまったりするリスクがあります。ここでは、実際の失敗事例と回避方法を紹介します。

失敗事例1:安さだけで選んだケース

ケース

遺産総額1.2億円で報酬20万円の格安税理士に依頼しました。相場(60万円〜100万円程度)と比べて大幅に安かったため、費用を抑えられると考えたのです。

しかし、不動産評価が不適切で、本来より500万円高い相続税を納税してしまいました。後日、セカンドオピニオンで発覚しましたが、更正の請求の期限が過ぎていたため、取り戻すことができませんでした。

教訓

  • 安さだけでなく、専門性・実績を重視すべき
  • 不動産評価の経験を確認すべきだった
  • 適正価格の目安(遺産総額の0.5%〜1%)を知っておく

回避方法

相場を把握した上で、極端に安い税理士は避けましょう。「なぜ安いのか」を確認することも重要です。経験が浅い、サービス範囲が限定されている、などの理由がある可能性があります。

不動産評価の実績を必ず確認し、複雑な土地評価の経験があるかを質問しましょう。

失敗事例2:追加費用の説明不足

ケース

基本報酬30万円の見積もりで契約しました。しかし、土地が5筆あり、土地評価で25万円の追加請求がありました。さらに、相続人が4人いたため、8万円の追加請求もありました。

最終的に63万円(当初見積もりの2倍以上)の支払いとなり、予算を大幅にオーバーしてしまいました。

教訓

  • 追加費用の発生条件を契約前に明確に確認すべき
  • 見積もりは「総額」で出してもらうべき
  • 契約書に追加費用の上限を明記すべき

回避方法

「追加費用はどのような場合に発生しますか?」と必ず質問しましょう。土地の筆数、相続人数を事前に伝え、総額見積もりを依頼することが重要です。

契約書の内容を精査し、追加費用の発生条件や上限が明記されているかを確認しましょう。

失敗事例3:相続税に不慣れな税理士

ケース

顧問税理士に相続税申告を依頼しました。普段は法人税や所得税を担当している税理士で、相続税の経験は年間数件程度でした。

しかし、小規模宅地等の特例の適用を失念してしまい、本来より300万円高い相続税を納税しました。後日、相続税専門の税理士に相談して更正の請求を実施し、取り戻すことができました。

教訓

  • 顧問税理士でも、相続税の経験が少ない場合は要注意
  • 相続税申告の実績件数を確認すべき
  • セカンドオピニオンを取ることも検討

回避方法

「相続税申告は年間何件経験されていますか?」と質問しましょう。年間10件未満なら、相続税専門の税理士を探すことをおすすめします。

顧問税理士に断りづらい場合は、セカンドオピニオンを取ることも検討しましょう。

失敗事例4:不動産評価のミスによる追徴課税

ケース

広大地の評価を税理士のみで実施しました。不動産鑑定士の意見書は費用がかかるため、取得しませんでした。

しかし、税務署から評価額について指摘を受け、修正申告を行うことになりました。追徴課税(加算税・延滞税含む)で150万円の追加負担が発生しました。

教訓

  • 複雑な土地評価は不動産鑑定士の意見書を取得すべき
  • 税理士の不動産評価の専門性(経験)を確認すべき
  • 税務調査リスクを軽視すべきでない

回避方法

広大地、不整形地、がけ地等の場合は、不動産鑑定士の意見書を検討しましょう。意見書の費用は10万円〜50万円程度ですが、節税効果や税務調査リスクの低減を考えると、十分に価値があります。

税理士に「不動産鑑定士との連携は必要ですか?」と相談し、専門家の意見を聞きましょう。

書面添付制度の利用を検討することで、税務調査リスクを低減できます。

不動産鑑定士が教える:不動産評価と税理士選び

不動産が相続財産に含まれる場合、不動産評価の専門性が相続税額に大きく影響します。ここでは、不動産鑑定士の視点から、不動産評価と税理士選びについて解説します。

不動産評価が相続税額に与える影響

相続財産に占める不動産の割合

相続財産全体に占める不動産の割合は、平均で40%〜45%です。都市部では地価が高いため50%〜60%、地方では30%〜40%程度となっています。

不動産の割合が高いほど、不動産評価の適正さが相続税額に大きく影響します。

評価額の差異による相続税額への影響

不動産の評価方法により、評価額が10%〜30%変動することがあります。適正な評価を行うことで、相続税額が数百万円〜数千万円変わる可能性があります。

事例:広大地評価による節税

通常評価:1億円

不動産鑑定士の意見書活用(広大地評価):7,000万円

評価額の差:3,000万円

相続税の節税効果:約900万円(税率30%の場合)

このように、適切な不動産評価により、大幅な節税が可能になります。

複雑な不動産評価のケース

1. 広大地・地積規模の大きな宅地

評価の難易度:高

広大地や地積規模の大きな宅地は、評価が非常に複雑です。適切な補正率を適用することで、評価額を大幅に下げることができます。

追加費用:10万円〜30万円

節税効果:数百万円〜数千万円の可能性

不動産鑑定士の意見書:推奨

広大地評価は専門性が高いため、不動産鑑定士の意見書を取得することを強くおすすめします。

2. 不整形地、間口狭小、がけ地

評価の難易度:中〜高

土地の形状が不整形である場合や、間口が狭い場合、がけ地である場合など、評価が複雑になります。

追加費用:5万円〜15万円

節税効果:数十万円〜数百万円

現地調査:必須

現地調査を行い、土地の形状や周辺環境を正確に把握することが重要です。

3. 貸地、借地権

評価の難易度:中

貸地や借地権は、権利関係が複雑です。適切な権利割合を適用することで、評価額を下げることができます。

追加費用:5万円〜10万円

節税効果:適切な権利関係の評価で数十万円〜数百万円

4. 複数の用途地域にまたがる土地

評価の難易度:高

土地が複数の用途地域にまたがる場合、各用途地域ごとに評価を行い、按分計算する必要があります。

追加費用:10万円〜20万円

節税効果:適切な按分計算で数十万円〜数百万円

不動産鑑定士×税理士連携のメリット

不動産鑑定士と税理士が連携することで、以下のようなメリットがあります。

1. 適正な評価による節税

不動産鑑定士の専門知識による補正率の適正化

不動産鑑定士は、土地の形状、立地、周辺環境などを総合的に評価し、適切な補正率を算定します。

取引事例比較法、収益還元法による市場価値の把握

取引事例比較法や収益還元法を用いて、市場価値を把握することで、適正な評価額を算定できます。

税理士への説得力のある資料提供

不動産鑑定士の意見書は、税理士にとっても説得力のある資料となります。税務署への説明にも活用できます。

2. 税務調査リスクの低減

客観的な評価根拠の提示(意見書・鑑定評価書)

不動産鑑定士の意見書や鑑定評価書は、客観的な評価根拠として税務署に提示できます。

税務署からの指摘への適切な反論

税務署から評価額について指摘を受けた場合、不動産鑑定士の意見書があれば、適切に反論できます。

修正申告・追徴課税の回避

適正な評価を行うことで、修正申告や追徴課税を回避できます。

3. 相続人間のトラブル回避

公平・中立な第三者評価

不動産鑑定士は、公平・中立な第三者として評価を行います。相続人間での評価額の争いを防げます。

遺産分割協議のスムーズ化

適正な評価額が明確になることで、遺産分割協議がスムーズに進みます。

不動産の現物分割・代償分割の判断材料

不動産を現物分割するか、代償分割するかの判断材料として、適正な評価額が必要です。

4. 費用対効果

不動産鑑定士の意見書:10万円〜50万円

節税効果:数百万円〜数千万円

費用対効果:10倍〜100倍

不動産鑑定士の意見書は費用がかかりますが、節税効果を考えると非常に高い費用対効果が期待できます。

不動産鑑定士との連携が特に重要なケース

以下のケースでは、不動産鑑定士との連携が特に重要です。

  1. 遺産総額1億円以上で不動産の割合が高い(50%以上)
  2. 土地が複雑(広大地、不整形地、がけ地、無道路地等)
  3. 収益不動産(賃貸アパート、貸地等)を含む
  4. 相続人間で不動産の評価に争いがある
  5. 税務調査を受けたことがある、または受ける可能性が高い

これらのケースでは、不動産鑑定士の意見書を取得することを強くおすすめします。

不動産評価に強い税理士の見極め方

実務経験の確認

質問例

  • 「広大地評価の実績は年間何件ですか?」
  • 「不整形地の補正計算は得意ですか?」
  • 「貸地・借地権の評価経験はありますか?」

これらの質問に対して、具体的な実績や事例を挙げて答えてくれる税理士は、不動産評価に強いと判断できます。

不動産鑑定士との連携実績

質問例

  • 「不動産鑑定士と連携したことはありますか?」
  • 「どのようなケースで不動産鑑定士の意見書を取得しますか?」
  • 「提携している不動産鑑定士はいますか?」

不動産鑑定士との連携実績がある税理士は、複雑な土地評価に対応できる体制が整っています。

現地調査の実施

質問例

  • 「土地の評価時に現地調査をしますか?」
  • 「どのような点を現地で確認しますか?」

現地調査を行う税理士は、土地の状況を正確に把握し、適正な評価を行うことができます。

税理士との契約から申告完了までの流れ

税理士に依頼する場合の一般的な流れを確認しましょう。

初回相談(無料相談)

持参すべき資料

初回相談時には、以下の資料を持参しましょう。

  • 被相続人の死亡診断書または死亡届
  • 戸籍謄本(相続人の確認)
  • 遺産の概要(不動産、預貯金、有価証券等)
  • 固定資産税の納税通知書(不動産の評価額の参考)

確認事項

初回相談では、以下の事項を確認します。

  • 相続税申告の必要性
  • 報酬の見積もり
  • 申告期限までのスケジュール
  • 必要書類のリスト

見積もり・契約

見積もり内容の確認

見積もりでは、以下の内容を確認しましょう。

  • 基本報酬の範囲
  • 追加費用が発生する条件
  • 支払いタイミング(着手金、成功報酬など)
  • 契約解除の条件

契約時の注意点

契約時には、以下の点に注意しましょう。

  • 契約書の内容を精査
  • 追加費用の上限を明記してもらう
  • 税務調査対応の費用を確認

必要書類の収集

税理士がサポートする範囲

税理士は、以下のサポートを提供します。

  • 必要書類のリスト提供
  • 取得方法のアドバイス
  • 一部書類の代行取得(有料の場合も)

依頼者が用意すべき書類

以下の書類は、依頼者が用意する必要があります。

  • 戸籍謄本、住民票、印鑑証明書
  • 不動産の登記簿謄本、固定資産税評価証明書
  • 預貯金の残高証明書、取引履歴
  • 有価証券の評価証明書
  • 生命保険金の支払通知書
  • 葬儀費用の領収書

申告書の作成・提出

作成期間

申告書の作成には、通常1〜2ヶ月かかります。

税理士の作業

税理士は、以下の作業を行います。

  • 遺産の評価額算定
  • 相続税額の計算
  • 申告書の作成
  • 添付資料の準備

依頼者の確認事項

申告書が完成したら、以下の事項を確認しましょう。

  • 申告書の内容確認
  • 評価額の妥当性
  • 特例適用の有無

提出

申告期限:被相続人の死亡を知った日の翌日から10ヶ月以内

提出先:被相続人の住所地を所轄する税務署

提出方法:郵送、持参、e-Tax

税務調査への対応

税務調査の確率

相続税申告の約10%〜20%が税務調査の対象となります。遺産総額が大きいほど、税務調査を受ける確率が高くなります。

書面添付制度

書面添付制度とは、税理士が申告書に意見を付記する制度です。書面添付制度を利用することで、税務調査のリスクを低減できます。

追加費用:5万円〜10万円

税務調査時の税理士の役割

税務調査が入った場合、税理士は以下の役割を果たします。

  • 税務署との対応
  • 質問への回答サポート
  • 修正申告が必要な場合の手続き

よくある質問(FAQ)

Q1. 顧問税理士に依頼すれば安くなりますか?

A: 顧問税理士だからといって必ずしも安くなるわけではありません。むしろ、相続税に不慣れな税理士の場合、評価ミスや特例適用の失念により、結果的に損をするリスクがあります。

顧問税理士に依頼する前に、以下を確認してください。

  • 相続税申告の実績件数(年間10件以上が目安)
  • 不動産評価の経験
  • 相続税専門の部署・担当者がいるか

相続税の経験が少ない場合は、セカンドオピニオンを取るか、相続税専門の税理士を探すことをおすすめします。

Q2. セカンドオピニオンは取るべきですか?

A: 以下のケースでは、セカンドオピニオンを強く推奨します。

1. 遺産総額が1億円以上で、不動産の割合が高い

評価額の違いで数百万円の差が出る可能性があります。

2. 税理士の報酬が相場より大幅に安い、または高い

相場は遺産総額の0.5%〜1%です。相場から大きく外れている場合は、理由を確認しましょう。

3. 税理士の説明が不明確、または不安を感じる

信頼関係が重要です。説明がわかりにくい、質問に答えてくれないなど、不安を感じる場合はセカンドオピニオンを検討しましょう。

4. 顧問税理士が相続税に不慣れ

年間10件未満の実績の場合、相続税専門の税理士にセカンドオピニオンを依頼することをおすすめします。

セカンドオピニオンの費用は3万円〜10万円程度ですが、数百万円の節税効果があれば十分に元が取れます。

Q3. 税理士報酬は経費(債務控除)になりますか?

A: 相続税申告の税理士報酬は、原則として債務控除の対象になりません。

債務控除の対象となるもの

  • 被相続人の債務(借入金、未払金等)
  • 葬儀費用
  • 相続発生前に発生した費用

債務控除の対象とならないもの

  • 相続税申告の税理士報酬
  • 遺産分割協議書作成費用
  • 相続登記の司法書士報酬

ただし、相続税の還付請求(更正の請求)の税理士報酬は、還付金から支払うことが一般的です。

Q4. 申告期限間近(残り3ヶ月未満)でも依頼できますか?

A: 可能ですが、以下の点に注意してください。

割増料金

  • 残り3ヶ月未満:20%〜50%割増
  • 残り1ヶ月未満:50%〜100%割増、または受任不可

リスク

  • 時間がないため、評価が不十分になる可能性
  • 税理士が忙しい場合、受任を断られることも
  • 必要書類の収集に時間がかかると、期限に間に合わない

対策

なるべく早く(相続発生後3ヶ月以内が理想)税理士に相談しましょう。申告期限の延長が認められるケースもありますが、相続人全員の合意が必要です。

Q5. 税務調査を受けたらどうなりますか?

A: 相続税申告の約10%〜20%が税務調査の対象となります。

税務調査の流れ

  1. 税務署から連絡(通常、申告から1〜2年後)
  2. 調査日の調整
  3. 実地調査(自宅や税理士事務所で実施)
  4. 質問・資料確認
  5. 調査結果の通知

税務調査で指摘される主な内容

  • 不動産評価の誤り
  • 預貯金の申告漏れ
  • 生前贈与の申告漏れ
  • 名義預金の認定

税務調査への対応

  • 税理士が立ち会い(追加費用:1日あたり5万円〜10万円)
  • 書面添付制度を利用していれば、調査リスクが低減
  • 修正申告が必要な場合、過少申告加算税(10%〜15%)と延滞税が発生

税務調査を避ける方法

  • 適正な評価・申告(不動産鑑定士の意見書活用)
  • 書面添付制度の利用
  • 税理士の専門性(相続税の経験豊富な税理士を選ぶ)

Q6. 税理士によって相続税額が変わるって本当ですか?

A: 本当です。特に不動産評価の専門性により、数百万円〜数千万円の差が出ることがあります。

理由

1. 不動産評価の違い

  • 補正率の適用(不整形地、間口狭小等)
  • 広大地・地積規模の大きな宅地の適用判断
  • 小規模宅地等の特例の適用方法

2. 特例適用の知識

  • 小規模宅地等の特例の適用漏れ
  • 配偶者の税額軽減の最適化
  • 取得費加算の特例

3. 評価時点の判断

  • 路線価の適用方法
  • 倍率地域の評価
  • 借地権割合の確認

事例

  • 税理士A(不動産評価に不慣れ):相続税額800万円
  • 税理士B(不動産評価に強い):相続税額500万円
  • 差額:300万円

対策

  • 不動産評価の経験豊富な税理士を選ぶ
  • セカンドオピニオンを取る
  • 不動産鑑定士の意見書を活用

Q7. 遺産総額がいくら以上なら税理士に依頼すべきですか?

A: 以下の基準で判断してください。

税理士に依頼すべきケース

1. 遺産総額が基礎控除額を大きく超える

  • 目安:基礎控除額+3,000万円以上
  • 例:相続人3人の場合、基礎控除4,800万円+3,000万円=7,800万円以上

2. 不動産が含まれる

評価が複雑なため、専門知識が必要です。不動産の相続税評価額の記事も参考にしてください。

3. 小規模宅地等の特例を適用する

適用要件が複雑です。

4. 相続人が4人以上

遺産分割協議が複雑になります。

自分で申告できるケース

1. 遺産が現金・預貯金のみ

評価が簡単です。

2. 遺産総額が基礎控除額に近い

相続税額が少ないため、リスクも小さくなります。

3. 相続人が2〜3人で争いがない

遺産分割協議がスムーズです。

判断に迷う場合

まず初回無料相談を利用し、税理士に「自分で申告できるか」を相談しましょう。セカンドオピニオンも検討することをおすすめします。

まとめ

税理士報酬の相場(再確認)

基本報酬:遺産総額の0.5%〜1.5%

  • 5,000万円:25万円〜75万円
  • 1億円:50万円〜150万円
  • 2億円:100万円〜300万円

追加費用

  • 土地評価:3万円〜20万円/筆
  • 相続人数:2万円〜5万円/人

税理士選びの3つの重要ポイント

1. 相続税申告の実績件数

  • 年間10件以上が目安
  • 顧問税理士でも相続税に不慣れな場合は要注意

2. 不動産評価の専門性

  • 広大地、不整形地、貸地等の評価経験
  • 不動産鑑定士との連携実績
  • 現地調査の実施

3. 料金体系の透明性

  • 基本報酬と追加費用の明確化
  • 見積もりは「総額」で出してもらう
  • 契約書に追加費用の上限を明記

不動産評価で節税効果を最大化するために

不動産が相続財産の40%以上を占める場合、不動産評価の専門性が重要です。広大地、不整形地等の複雑な土地は、不動産鑑定士の意見書を活用しましょう。

費用対効果は10倍〜100倍(意見書10万円〜50万円で節税効果数百万円〜数千万円)と非常に高いため、積極的に検討することをおすすめします。

失敗しないために

  • 安さだけで選ばない(相場を把握し、適正価格の税理士を選ぶ)
  • 追加費用の発生条件を契約前に明確に確認
  • セカンドオピニオンを検討(特に遺産総額1億円以上、不動産の割合が高い場合)
  • 初回相談でチェックリストを使って確認

次のアクション

相続税申告は専門性が高く、税理士選びが相続税額に大きく影響します。まずは複数の税理士に初回無料相談を申し込み、実績・専門性・料金体系を比較検討することをおすすめします。

特に不動産評価が複雑な場合は、不動産鑑定士と連携できる税理士を選ぶことで、適正な評価による節税効果が期待できます。

無料相談のご案内

相続大学では、相続税申告や不動産評価に関する無料相談を受け付けています。

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北原 崇寛

北原 崇寛

不動産鑑定士・宅地建物取引士

大手不動産鑑定会社で裁判鑑定・証券化案件・担保評価等を担当後、東証一部上場不動産会社にて不動産訴訟アドバイザリー、法律・税制面からの不動産有効活用コンサルティングに従事。2020年北原不動産鑑定士事務所開業。