遺産分割協議書の書き方完全ガイド【ひな形・記載例付】

この記事の結論
遺産分割協議書は、相続人全員で遺産の分け方を決めた際に作成する重要な書類です。2024年4月から相続登記が義務化されたことで、不動産を相続する場合は必須となりました。この記事では、自分で作成する方法を徹底解説します。
この記事でわかること:
- 遺産分割協議書の必須記載事項と書き方
- 不動産の記載方法(登記簿謄本との対応関係)
- 代償分割時の不動産評価額の決め方
- 記事内にコピペ可能な記載例(5パターン)
- 自分で作成できるか、専門家に依頼すべきかの判断基準
こんな方におすすめ:
- 遺産分割協議書を自分で作成したい方
- 不動産の記載方法がわからない方
- 代償分割で評価額の決め方に悩んでいる方
- 費用を抑えたい方
遺産分割協議書とは
遺産分割協議書の定義と法的位置づけ
遺産分割協議書とは、共同相続人全員で遺産の分割方法について協議し、合意した内容を書面にまとめたものです。
法的根拠:
- 民法第907条(遺産分割の協議): 共同相続人は、遺産の分割について、協議によって定めることができる
- 民法第909条(遺産分割の効力): 遺産分割の効力は相続開始時に遡及
遺産分割協議書には法的拘束力があり、後から内容を変更することは原則できません。相続人全員が署名・押印することで、その内容に法的効力が生じます。
遺産分割協議書の役割
遺産分割協議書は、以下の場面で必要になります。
相続登記(不動産の名義変更)
法務局への申請時の必須添付書類です。2024年4月から相続登記が義務化されたことで、不動産を相続する場合は必ず必要になりました。
登記申請時には、遺産分割協議書に相続人全員の印鑑証明書を添付して提出します。
相続税申告
税務署への申告時の添付書類として必要です。特に、小規模宅地等の特例を適用する場合は、遺産分割協議書の添付が必須となります。
特例を適用することで相続税を大幅に減額できるため、相続税が発生する場合は必ず作成しましょう。
銀行・証券口座の解約
金融機関での相続手続きにおいて、遺産分割協議書の提出を求められることがあります。
特に、法定相続分と異なる割合で預貯金を分配する場合は、遺産分割協議書が必要です。
相続人間のトラブル防止
合意内容を書面で明確にすることで、後の「言った・言わない」のトラブルを防ぐことができます。
特に不動産のように高額な財産を分割する場合、口約束だけでは後から問題になる可能性が高いため、必ず書面で残しておくべきです。
2024年相続登記義務化との関連
2024年4月1日から相続登記が義務化されました。この法改正により、遺産分割協議書の重要性がさらに高まっています。
義務の内容
- 不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請
- 正当な理由なく申請しないと10万円以下の過料
従来は相続登記に期限がなく、何年も放置されるケースが多く見られました。しかし、義務化によりこの状況が大きく変わりました。
遺産分割協議書との関係
相続登記の申請時には、以下のいずれかの書類が必要です。
- 遺産分割協議書(相続人全員の印鑑証明書付き)
- 遺言書
- 法定相続情報一覧図(法定相続分で相続する場合)
実際には、多くのケースで法定相続分とは異なる分割をするため、遺産分割協議書が必要になります。
相続登記義務化の詳細については、「相続登記義務化で何が変わった?罰則と注意点を徹底解説」をご覧ください。
遺産分割協議書が必要なケース・不要なケース
必要なケース
以下の場合、遺産分割協議書が必要です。
相続人が複数いる場合
相続人が2人以上いる場合、法定相続分と異なる分割をするには遺産分割協議書が必要です。
例えば、兄弟2人が相続人で、実家不動産を長男が単独で相続する場合などが該当します。
不動産を特定の相続人が取得する場合
不動産を相続人の一人が単独で取得する場合、必ず遺産分割協議書が必要です。
共有名義にせず、単独所有にすることで、後の売却や管理がスムーズになります。
代償分割を行う場合
一人が不動産を取得し、他の相続人に代償金を支払う方法を「代償分割」といいます。
代償分割を行う場合、遺産分割協議書に以下を記載します。
- 不動産を取得する相続人
- 代償金を受け取る相続人
- 代償金の金額
- 支払期限と支払方法
換価分割を行う場合
不動産を売却し、売却代金を相続人間で分配する方法を「換価分割」といいます。
換価分割を行う場合、遺産分割協議書に以下を記載します。
- 売却の代表者
- 売却代金の分配割合
- 売却費用(仲介手数料など)の負担方法
相続税申告で特例を適用する場合
小規模宅地等の特例を適用する場合、遺産分割協議書の添付が必須です。
特例を適用することで、自宅の土地評価額を最大80%減額できるため、相続税を大幅に節税できます。
小規模宅地等の特例については、「小規模宅地等の特例を最大限活用する方法」で詳しく解説しています。
不要なケース
以下の場合、遺産分割協議書は不要です。
相続人が1人だけの場合
相続人が1人しかいない場合、遺産分割の協議が不要なため、遺産分割協議書も不要です。
この場合、相続登記は戸籍謄本などの必要書類のみで申請できます。
遺言書があり、その通りに分割する場合
有効な遺言書があり、その内容通りに分割する場合は、遺産分割協議書は不要です。
遺言書が遺産分割協議書の代わりとなります。
法定相続分で分割する場合
法定相続分通りに分割する場合、遺産分割協議書は原則不要です。
ただし、銀行手続きでは「遺産分割協議証明書」が必要な場合があります。
作成しないリスク
遺産分割協議書を作成しないと、以下のリスクがあります。
相続登記ができず過料
相続登記ができず、義務化の期限(3年)を過ぎると、10万円以下の過料が科される可能性があります。
不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記しなければなりません。
相続税の特例が使えない
小規模宅地等の特例を適用するには、遺産分割協議書が必須です。
特例が使えないと、相続税が数百万円~数千万円増えることもあります。
相続税の基礎知識については、「相続税はいくらから?基礎控除と申告期限を徹底解説」をご覧ください。
後からトラブルになる
口約束だけでは、後から「言った・言わない」のトラブルになりがちです。
特に兄弟間での相続は、後から感情的な対立に発展することが多いため、必ず書面で残しておくべきです。
実家の相続でよくあるトラブルについては、「実家の処分で兄弟が揉める?トラブルを防ぐ3つのポイント」で解説しています。
不動産の売却ができない
共有名義のままでは、不動産の売却に全員の同意が必要です。
一人でも反対すると売却できないため、早めに遺産分割協議書を作成し、単独名義にしておくことが重要です。
遺産分割協議書の記載事項(基本編)
必須記載事項
遺産分割協議書には、以下の項目を必ず記載します。
タイトル
協議書の冒頭に「遺産分割協議書」と明記します。
タイトルは中央に配置し、大きめの文字で記載するのが一般的です。
被相続人の情報
被相続人について、以下の情報を正確に記載します。
- 氏名(フルネーム)
- 最後の住所(住民票上の住所)
- 本籍(戸籍謄本記載の本籍)
- 死亡年月日
これらの情報は、戸籍謄本や住民票から正確に転記してください。
記載例:
被相続人 山田太郎(最後の住所:東京都千代田区丸の内1丁目1番1号、本籍:東京都千代田区丸の内1丁目1番地、死亡年月日:令和6年3月15日)の遺産について、相続人全員で遺産分割協議を行い、以下のとおり合意した。
相続人の合意文言
相続人全員で協議し、合意した旨を明記します。
「相続人全員で遺産分割協議を行い、以下のとおり合意した」という文言を入れることで、協議が成立したことを証明します。
分割内容(財産ごとに記載)
各財産について、誰が取得するかを明確に記載します。
不動産、預貯金、有価証券など、財産の種類ごとに記載します。
不動産の記載方法については、次章で詳しく解説します。
作成日付
協議が成立した日付を記載します。
実際に相続人全員が合意した日付を記載してください。
相続人全員の署名・押印
相続人全員が以下の情報を記載し、署名・押印します。
- 住所(印鑑証明書と一致)
- 氏名(自署)
- 実印押印
住所は、印鑑証明書に記載された住所と完全に一致させる必要があります。
任意記載事項(入れておくと良い項目)
必須ではありませんが、以下の項目を入れておくとトラブル防止に有効です。
未記載財産の取扱い
「本協議書に記載のない財産は、相続人全員で別途協議する」という条項を入れておくことで、後から財産が見つかった場合にも対応できます。
この条項がないと、新たに財産が見つかるたびに協議書を作り直す必要があります。
費用負担
「相続登記費用は○○が負担する」という条項を入れておくと、後で費用負担でもめることを防げます。
登記費用、税理士費用、司法書士費用など、どの費用を誰が負担するかを明確にしておきましょう。
債務の承継
「被相続人の債務は○○が承継する」という条項を入れておくと、債務の承継者が明確になります。
ただし、債権者の同意なく債務を引き受けることはできないため、債権者への通知も必要です。
用紙・フォーマット・作成方法
用紙
A4用紙を使用するのが一般的です。
縦書き・横書きどちらでも構いません。最近はパソコンで作成することが多いため、横書きが主流です。
作成方法
パソコン作成でも手書きでも構いません。
ただし、署名は必ず自署(手書き)が必要です。パソコンで作成する場合も、署名欄は空欄にしておき、印刷後に手書きで署名してください。
ページ数
複数ページにわたる場合、契印(割印)が必要です。
ページとページの境目に相続人全員の実印を押すことで、すべてのページが連続していることを証明します。
作成部数
相続人の人数分に加え、登記用の原本が必要です。
例えば、相続人が3人の場合、最低4部(各相続人1部+登記用1部)を作成します。
銀行手続きなどでも原本が必要な場合があるため、余分に作成しておくと安心です。
不動産の記載方法(不動産鑑定士が解説)
不動産記載の基本原則:登記簿謄本と完全一致
不動産の記載は、登記事項証明書(登記簿謄本)の「表題部」の記載と一字一句完全に一致させる必要があります。
完全一致が必要な理由
登記申請時に、協議書の記載と登記簿が一致しないと申請が却下されるためです。
特に以下の点に注意が必要です。
- 住所表示ではなく地番を記載
- 数値は小数点以下も正確に
- 構造の詳細(瓦葺、陸屋根など)も省略しない
- 漢数字・アラビア数字も登記簿通りに
よくある間違い
多くの方が「住所」と「地番」を混同します。
住所は「東京都千代田区丸の内1-2-3」のように表示されますが、地番は「東京都千代田区丸の内一丁目1番2」のように表示されます。
遺産分割協議書には「地番」を記載する必要があります。
登記事項証明書(登記簿謄本)の取得方法
不動産の記載を正確に行うには、まず登記事項証明書を取得する必要があります。
取得方法
以下の2つの方法があります。
法務局窓口で申請:
- 費用: 1通600円
- 受取: 即日交付
- メリット: その場で内容を確認できる
オンライン請求:
- 費用: 1通500円(郵送受取)または480円(窓口受取)
- 受取: 郵送または指定法務局窓口
- メリット: 自宅から申請できる
取得に必要な情報
登記事項証明書を取得するには、以下の情報が必要です。
- 不動産の所在地(地番)
- 家屋番号(建物の場合)
地番の調べ方
地番がわからない場合、以下の方法で調べられます。
固定資産税納税通知書を確認: 毎年5月頃に送られてくる固定資産税の納税通知書に地番が記載されています。
法務局で地番照会: 法務局の窓口で住所を伝えると、無料で地番を教えてもらえます。
インターネットで検索: 法務局のホームページで「地番検索サービス」を提供している地域もあります。
土地の記載方法
登記簿謄本の「表題部(土地の表示)」をそのまま転記します。
記載項目
以下の項目を正確に記載します。
- 所在
- 地番
- 地目
- 地積
記載例
以下をコピーして使用してください。
以下の不動産は、相続人 山田花子が取得する。
【土地】
所 在 東京都千代田区丸の内一丁目
地 番 1番2
地 目 宅地
地 積 123.45平方メートル
使い方の注意点:
- 所在の表記は登記簿謄本と完全一致させる(「一丁目」など漢数字に注意)
- 地番は「1番2」のように記載(「1-2」ではない)
- 地積は小数点以下も正確に記載(「約123平方メートル」は不可)
よくある間違い
間違い: 住所表示を記載
東京都千代田区丸の内1-2-3
正しい: 地番を記載
所 在 東京都千代田区丸の内一丁目
地 番 1番2
間違い: 概算を記載
地 積 約123平方メートル
正しい: 正確な数値を記載
地 積 123.45平方メートル
建物の記載方法
登記簿謄本の「表題部(建物の表示)」をそのまま転記します。
記載項目
以下の項目を正確に記載します。
- 所在
- 家屋番号
- 種類
- 構造
- 床面積
記載例
以下をコピーして使用してください。
【建物】
所 在 東京都千代田区丸の内一丁目1番地2
家屋番号 1番2
種 類 居宅
構 造 木造瓦葺2階建
床面積 1階 60.00平方メートル
2階 50.00平方メートル
使い方の注意点:
- 家屋番号は地番と異なる場合がある(登記簿謄本で確認)
- 構造は詳細まで正確に記載(「瓦葺」などを省略しない)
- 床面積は階ごとに記載(小数点以下も正確に)
よくある間違い
間違い: 構造を簡略化
構 造 木造2階建
正しい: 構造の詳細を記載
構 造 木造瓦葺2階建
構造には、屋根の種類(瓦葺、スレート葺、陸屋根など)も含まれます。登記簿謄本に記載された通りに転記してください。
マンション(区分所有建物)の記載方法
マンションの場合、記載が複雑になります。
「一棟の建物の表示」と「専有部分の建物の表示」の両方を記載する必要があります。
記載例
以下をコピーして使用してください。
【一棟の建物の表示】
所 在 東京都千代田区丸の内一丁目1番地2
建物の名称 ○○マンション
【専有部分の建物の表示】
家屋番号 丸の内一丁目1番2の301
建物の名称 301
種 類 居宅
構 造 鉄筋コンクリート造1階建
床面積 3階部分 70.00平方メートル
【敷地権の表示】
土地の符号 1
所 在 東京都千代田区丸の内一丁目
地 番 1番2
地 目 宅地
地 積 1000.00平方メートル
敷地権の種類 所有権
敷地権の割合 10000分の350
使い方の注意点:
- 一棟の建物の表示、専有部分の表示、敷地権の表示をすべて記載
- 家屋番号は「○○の301」のように部屋番号を含む
- 構造は「鉄筋コンクリート造1階建」と記載(専有部分は1階建扱い)
- 床面積は「3階部分」のように階数を明記
- 敷地権の割合は分数で正確に記載
マンションの登記は複雑なため、登記簿謄本を見ながら慎重に転記してください。
複数の不動産がある場合
複数の不動産がある場合は、すべて個別に記載します(省略不可)。
方法1: 協議書内にすべて記載
すべての不動産を協議書内に記載する方法です。
不動産が2-3件程度であれば、この方法が簡単です。
方法2: 別紙物件目録を作成
「別紙物件目録のとおり」として、別紙に不動産をまとめて記載する方法です。
不動産が多数ある場合は、この方法が見やすくなります。
記載例:
別紙物件目録記載の不動産は、相続人 山田太郎が取得する。
別紙にする場合も、契印(割印)が必要です。
登記簿謄本と協議書の対応関係
登記簿謄本の「表題部」には以下の情報が記載されています。
土地の場合
- 所在: そのまま転記(漢数字に注意)
- 地番: そのまま転記(「1番2」など)
- 地目: そのまま転記(宅地、田、畑など)
- 地積: 小数点以下も正確に転記
建物の場合
- 所在: そのまま転記(土地とは表記が異なる場合あり)
- 家屋番号: そのまま転記(地番と異なる場合あり)
- 種類: そのまま転記(居宅、店舗、事務所など)
- 構造: 詳細(瓦葺など)も省略せず転記
- 床面積: 階ごとに正確に転記
登記簿謄本を手元に置き、一字一句確認しながら転記することをおすすめします。
実家の名義変更手続きの全体像については、「実家を相続したら名義変更が必要!手続きと費用を徹底解説」で詳しく解説しています。
代償分割の記載方法と評価額の決め方
代償分割とは
代償分割とは、特定の相続人が不動産などの現物を取得し、他の相続人に対して代償金(金銭)を支払う分割方法です。
メリット
不動産を共有名義にせず、単独所有にできる: 共有名義にすると、売却や管理に全員の同意が必要になり、後々トラブルの原因になります。
不動産を売却せずに済む: 実家など、売却したくない不動産を残すことができます。
各相続人が公平に財産を取得できる: 不動産を取得する人は代償金を支払い、他の相続人は代償金を受け取ることで、公平性が保たれます。
デメリット
代償金を支払う資金が必要: 不動産を取得する相続人に、代償金を支払う資力が必要です。
自己資金がない場合、銀行から借り入れることもできますが、返済計画が必要です。
不動産の評価額で揉める可能性: 評価方法によって評価額が大きく異なるため、相続人間で意見が対立することがあります。
代償分割の記載例
以下は、代償分割を行う場合の記載例です。
ケース設定
- 相続財産: 自宅不動産(評価額5,000万円)
- 相続人: 長男と次男(法定相続分 各1/2)
- 分割方法: 長男が不動産を取得、次男に代償金2,500万円を支払う
記載例
以下をコピーして使用してください。
1. 以下の不動産は、相続人 山田太郎(長男)が取得する。
【土地】
所 在 東京都千代田区丸の内一丁目
地 番 1番2
地 目 宅地
地 積 123.45平方メートル
【建物】
所 在 東京都千代田区丸の内一丁目1番地2
家屋番号 1番2
種 類 居宅
構 造 木造瓦葺2階建
床面積 1階 60.00平方メートル
2階 50.00平方メートル
上記不動産の評価額は、相続税評価額(路線価ベース)により金50,000,000円とする。
2. 相続人 山田太郎(長男)は、上記不動産を取得する代償として、相続人 山田次郎(次男)に対し、金25,000,000円を令和7年3月31日までに、次郎の指定する銀行口座(○○銀行○○支店 普通預金 口座番号1234567)に振り込む方法により支払う。振込手数料は太郎の負担とする。
使い方の注意点:
- 不動産の評価方法を明記(相続税評価額、不動産鑑定評価など)
- 代償金の金額を明記
- 支払期限を具体的に記載(「令和○年○月○日まで」)
- 支払方法を明記(振込、手渡しなど)
- 銀行口座情報を正確に記載
- 振込手数料の負担者を明記
代償金の計算方法
代償金は、以下の式で計算します。
代償金 = 不動産の評価額 × 相手の法定相続分
具体例
- 不動産の評価額: 5,000万円
- 次男の法定相続分: 1/2
- 代償金 = 5,000万円 × 1/2 = 2,500万円
相続人が3人以上の場合
相続人が3人の場合、以下のように計算します。
- 不動産の評価額: 6,000万円
- 法定相続分: 各1/3
- 長男が不動産を取得し、次男と三男に代償金を支払う場合
- 次男への代償金 = 6,000万円 × 1/3 = 2,000万円
- 三男への代償金 = 6,000万円 × 1/3 = 2,000万円
不動産評価額の決定方法(不動産鑑定士が教える)
代償分割で最も重要なのが、不動産の評価額をどう決めるかです。
評価方法は主に4つあり、それぞれメリット・デメリットがあります。
相続税評価額(路線価ベース)
概要: 国税庁が公表する路線価を基に算出した評価額です。
計算方法:
- 路線価 × 地積 × 補正率
- 路線価は時価の約80%
路線価は国税庁のホームページで確認できます。
メリット:
計算が明確で客観的: 路線価は公的に公表されているため、誰が計算しても同じ結果になります。
税務上の根拠がある: 相続税申告時の評価と一致させることができます。
無料で算出できる: 専門家に依頼しなくても、自分で計算できます。
デメリット:
時価より低くなることが多い: 路線価は時価の約80%に設定されているため、市場価格より低くなります。
市場価格と乖離する可能性: 立地条件や建物の状態によっては、路線価と市場価格が大きく乖離することがあります。
適用場面:
- 相続人間で争いが少ない場合
- 相続税申告がある場合
- 簡易的に評価したい場合
不動産鑑定士のアドバイス:
「相続税申告がある場合、代償金の算定にも相続税評価額を使うと整合性が取れます。ただし、市場価格と大きく乖離する場合は注意が必要です。」
不動産の相続税評価額の計算方法については、「不動産の相続税評価額の計算方法:路線価方式・倍率方式を徹底解説」で詳しく解説しています。
固定資産税評価額
概要: 市町村が固定資産税の課税のために算定した評価額です。
確認方法: 毎年5月頃に送られてくる固定資産税納税通知書で確認できます。
メリット:
公的評価で客観性がある: 市町村が算定した公的な評価額です。
固定資産税納税通知書で確認できる: 専門家に依頼しなくても、無料で確認できます。
デメリット:
時価の約70%程度: 固定資産税評価額は時価の約70%に設定されているため、市場価格と大きく乖離します。
建物評価が実態と合わない: 古い建物でも一定の評価額が付くため、実際の価値と異なることがあります。
適用場面:
- 簡易的な評価が必要な場合
- 相続人間で合意が得られやすい場合
不動産鑑定士のアドバイス:
「固定資産税評価額は時価の70%程度なので、代償分割では不公平感が出やすいです」
不動産鑑定評価
概要: 不動産鑑定士が不動産鑑定評価基準に基づき算定した時価です。
手続き: 不動産鑑定士に依頼し、正式な鑑定評価書を作成してもらいます。
メリット:
最も正確な時価がわかる: 不動産鑑定士が専門的知識に基づき、正確な時価を算定します。
法的効力が強い: 裁判でも採用されるため、法的な根拠として最も強力です。
後のトラブルを防げる: 公正な評価に基づくため、相続人間で納得感が得られやすくなります。
デメリット:
費用がかかる: 20万円~50万円程度の費用が必要です。
時間がかかる: 評価書の作成に1~2週間程度かかります。
適用場面:
- 高額不動産(1億円以上)
- 商業用不動産
- 相続人間で意見が対立している場合
- 後のトラブルを確実に防ぎたい場合
費用の目安:
- 戸建て・マンション(1億円未満): 20~30万円
- 戸建て・マンション(1億円以上): 30~50万円
- 商業用不動産: 50万円以上
不動産鑑定士のアドバイス:
「高額不動産や相続人間で争いがある場合は、不動産鑑定評価を取得することをお勧めします。費用はかかりますが、後のトラブルを防ぐ効果は非常に高いです。」
私自身、多くの代償分割案件で不動産鑑定評価を行ってきましたが、正確な評価額を提示することで、相続人全員が納得し、円満に協議が成立したケースが多数あります。
不動産業者の査定
概要: 不動産仲介業者が算定した売却予想価格です。
手続き: 不動産仲介業者に無料で査定を依頼します。
メリット:
無料で手軽: 多くの不動産業者が無料で査定を行っています。
市場価格に近い: 実際の売買事例に基づいた査定なので、市場価格に近い金額が出ます。
複数業者に依頼して比較できる: 複数の業者に依頼することで、相場感をつかむことができます。
デメリット:
法的根拠が弱い: 公的な評価ではないため、法的な根拠としては弱いです。
業者によってばらつきがある: 業者によって査定額が大きく異なることがあります。
高めに査定される傾向: 売却を受注したいため、高めの査定額を出す業者もいます。
適用場面:
- 参考値として利用
- 換価分割を前提とする場合
不動産鑑定士のアドバイス:
「不動産業者の査定は参考程度に。代償分割の根拠としては弱いので、正式には相続税評価額か不動産鑑定評価を使うべきです。」
評価方法の選び方フローチャート
どの評価方法を選ぶべきか、以下のフローチャートで判断してください。
[START]
↓
不動産の評価額は1億円以上?
↓YES → 不動産鑑定評価を取得(費用30-50万円)
↓NO
↓
相続人間で意見が対立している?
↓YES → 不動産鑑定評価を取得(費用20-30万円)
↓NO
↓
相続税申告が必要?
↓YES → 相続税評価額(路線価ベース)を使用
↓NO
↓
簡易的に決めたい?
↓YES → 固定資産税評価額を使用
↓NO → 相続税評価額を使用(推奨)
評価方法の比較表
| 評価方法 | 費用 | 時間 | 精度 | 法的効力 | おすすめ度 |
|---|---|---|---|---|---|
| 相続税評価額 | 無料 | 即日 | 中 | 高 | ★★★★☆ |
| 固定資産税評価額 | 無料 | 即日 | 低 | 中 | ★★☆☆☆ |
| 不動産鑑定評価 | 20-50万円 | 1-2週間 | 高 | 最高 | ★★★★★ |
| 不動産業者査定 | 無料 | 即日 | 中 | 低 | ★★☆☆☆ |
代償分割時のトラブル防止ポイント
ポイント1: 評価方法を明記する
協議書に「どの評価方法を使ったか」を明記しておくと、後のトラブル防止になります。
記載例:
上記不動産の評価額は、相続税評価額(路線価ベース)により金50,000,000円とする。
または
上記不動産の評価額は、不動産鑑定士○○による不動産鑑定評価(令和6年4月1日付)により金50,000,000円とする。
評価方法と評価額を明記することで、後から「評価が不公平だった」というクレームを防げます。
ポイント2: 支払期限・方法を具体的に記載
代償金の支払期限、支払方法、振込手数料の負担を明確にします。
記載例:
相続人 山田太郎は、相続人 山田次郎に対し、金25,000,000円を令和7年3月31日までに、次郎の指定する銀行口座(○○銀行○○支店 普通預金 口座番号1234567 口座名義 ヤマダジロウ)に振り込む方法により支払う。振込手数料は太郎の負担とする。
支払期限は、具体的な日付を記載してください。「相続開始後1年以内」などの曖昧な表現は避けましょう。
ポイント3: 分割払いの場合は返済計画を記載
一括払いが難しい場合、分割払いも可能です。
記載例:
相続人 山田太郎は、相続人 山田次郎に対し、金25,000,000円を以下の通り分割して支払う。
第1回: 令和7年3月31日 金5,000,000円
第2回: 令和7年9月30日 金5,000,000円
第3回: 令和8年3月31日 金5,000,000円
第4回: 令和8年9月30日 金5,000,000円
第5回: 令和9年3月31日 金5,000,000円
支払方法: 次郎の指定する銀行口座(○○銀行○○支店 普通預金 口座番号1234567)に振り込む。振込手数料は太郎の負担とする。
なお、太郎が支払を1回でも怠った場合、次郎は残金全額を一括請求できるものとする。
分割払いの場合、以下の点も明記しておきましょう。
- 各回の支払金額
- 支払期日(具体的な日付)
- 支払方法
- 期限の利益喪失条項(1回でも遅れたら一括請求できる)
ケース別の記載例(コピペ可能)
実際の記載例を5パターン提供します。自分の状況に合うケースを選んで、コピーして使用してください。
ケース1: 不動産のみ(現物分割)
状況設定
- 相続財産: 土地・建物(実家)
- 相続人: 長男と次男
- 分割方法: 長男が不動産を取得
記載例
以下をコピーして使用してください。
遺産分割協議書
被相続人 山田太郎(最後の住所:東京都千代田区丸の内1丁目1番1号、本籍:東京都千代田区丸の内1丁目1番地、死亡年月日:令和6年3月15日)の遺産について、相続人全員で遺産分割協議を行い、以下のとおり合意した。
1. 以下の不動産は、相続人 山田一郎(長男)が取得する。
【土地】
所 在 東京都千代田区丸の内一丁目
地 番 1番2
地 目 宅地
地 積 123.45平方メートル
【建物】
所 在 東京都千代田区丸の内一丁目1番地2
家屋番号 1番2
種 類 居宅
構 造 木造瓦葺2階建
床面積 1階 60.00平方メートル
2階 50.00平方メートル
2. 本協議書に記載のない遺産については、相続人全員で別途協議する。
令和6年5月15日
住所 東京都千代田区丸の内1丁目1番1号
相続人 山田一郎(長男) 印
住所 東京都千代田区丸の内2丁目2番2号
相続人 山田次郎(次男) 印
使い方の手順
- 被相続人の情報(氏名、住所、本籍、死亡日)を実際の情報に置き換え
- 不動産の情報を登記簿謄本から正確に転記
- 相続人の情報(氏名、住所)を実際の情報に置き換え
- 作成日付を記入
- 印刷して各相続人が署名・実印押印
ケース2: 不動産+預貯金
状況設定
- 相続財産: 土地・建物、預貯金1,000万円
- 相続人: 長男と次男
- 分割方法: 長男が不動産、次男が預貯金を取得
記載例
以下をコピーして使用してください。
遺産分割協議書
被相続人 山田太郎(最後の住所:東京都千代田区丸の内1丁目1番1号、本籍:東京都千代田区丸の内1丁目1番地、死亡年月日:令和6年3月15日)の遺産について、相続人全員で遺産分割協議を行い、以下のとおり合意した。
1. 以下の不動産は、相続人 山田一郎(長男)が取得する。
【土地】
所 在 東京都千代田区丸の内一丁目
地 番 1番2
地 目 宅地
地 積 123.45平方メートル
【建物】
所 在 東京都千代田区丸の内一丁目1番地2
家屋番号 1番2
種 類 居宅
構 造 木造瓦葺2階建
床面積 1階 60.00平方メートル
2階 50.00平方メートル
2. 以下の預貯金は、相続人 山田次郎(次男)が取得する。
○○銀行○○支店 普通預金 口座番号1234567
口座名義 ヤマダタロウ
残高 金10,000,000円
3. 本協議書に記載のない遺産については、相続人全員で別途協議する。
令和6年5月15日
住所 東京都千代田区丸の内1丁目1番1号
相続人 山田一郎(長男) 印
住所 東京都千代田区丸の内2丁目2番2号
相続人 山田次郎(次男) 印
使い方の手順
- 被相続人・不動産・相続人の情報を実際の情報に置き換え
- 預貯金の情報(銀行名、支店名、口座番号、残高)を通帳から正確に転記
- 作成日付を記入
- 印刷して各相続人が署名・実印押印
注意点
- 預貯金の残高は、死亡日時点の残高を記載
- 複数の口座がある場合は、すべて記載
- 口座名義はカタカナで正確に記載
ケース3: 代償分割
状況設定
- 相続財産: 土地・建物(評価額5,000万円)
- 相続人: 長男と次男(法定相続分 各1/2)
- 分割方法: 長男が不動産を取得、次男に代償金2,500万円を支払う
記載例
以下をコピーして使用してください。
遺産分割協議書
被相続人 山田太郎(最後の住所:東京都千代田区丸の内1丁目1番1号、本籍:東京都千代田区丸の内1丁目1番地、死亡年月日:令和6年3月15日)の遺産について、相続人全員で遺産分割協議を行い、以下のとおり合意した。
1. 以下の不動産は、相続人 山田一郎(長男)が取得する。
【土地】
所 在 東京都千代田区丸の内一丁目
地 番 1番2
地 目 宅地
地 積 123.45平方メートル
【建物】
所 在 東京都千代田区丸の内一丁目1番地2
家屋番号 1番2
種 類 居宅
構 造 木造瓦葺2階建
床面積 1階 60.00平方メートル
2階 50.00平方メートル
上記不動産の評価額は、相続税評価額(路線価ベース)により金50,000,000円とする。
2. 相続人 山田一郎(長男)は、上記不動産を取得する代償として、相続人 山田次郎(次男)に対し、金25,000,000円を令和7年3月31日までに、次郎の指定する銀行口座(○○銀行○○支店 普通預金 口座番号1234567 口座名義 ヤマダジロウ)に振り込む方法により支払う。振込手数料は一郎の負担とする。
3. 本協議書に記載のない遺産については、相続人全員で別途協議する。
令和6年5月15日
住所 東京都千代田区丸の内1丁目1番1号
相続人 山田一郎(長男) 印
住所 東京都千代田区丸の内2丁目2番2号
相続人 山田次郎(次男) 印
使い方の手順
- 被相続人・不動産・相続人の情報を実際の情報に置き換え
- 不動産の評価額を算定(相続税評価額または不動産鑑定評価)
- 代償金の金額を計算(評価額 × 相手の法定相続分)
- 支払期限、銀行口座情報を記入
- 作成日付を記入
- 印刷して各相続人が署名・実印押印
注意点
- 評価方法(相続税評価額、不動産鑑定評価など)を明記
- 支払期限は具体的な日付を記載
- 銀行口座情報は正確に記載
- 振込手数料の負担者を明記
ケース4: 換価分割
状況設定
- 相続財産: 土地・建物(実家)
- 相続人: 長男と次男
- 分割方法: 不動産を売却し、代金を1/2ずつ分配
記載例
以下をコピーして使用してください。
遺産分割協議書
被相続人 山田太郎(最後の住所:東京都千代田区丸の内1丁目1番1号、本籍:東京都千代田区丸の内1丁目1番地、死亡年月日:令和6年3月15日)の遺産について、相続人全員で遺産分割協議を行い、以下のとおり合意した。
1. 以下の不動産については、相続人 山田一郎(長男)が代表して換価(売却)を行い、売却代金から売却に要した費用(仲介手数料、測量費用、登記費用など)を差し引いた残金を、相続人 山田一郎(長男)と山田次郎(次男)が各2分の1ずつ取得する。
【土地】
所 在 東京都千代田区丸の内一丁目
地 番 1番2
地 目 宅地
地 積 123.45平方メートル
【建物】
所 在 東京都千代田区丸の内一丁目1番地2
家屋番号 1番2
種 類 居宅
構 造 木造瓦葺2階建
床面積 1階 60.00平方メートル
2階 50.00平方メートル
2. 換価手続きを円滑に進めるため、相続人全員は山田一郎(長男)に対し、換価に必要な一切の権限(売買契約の締結、代金の受領、登記手続きの実行など)を委任する。
3. 本協議書に記載のない遺産については、相続人全員で別途協議する。
令和6年5月15日
住所 東京都千代田区丸の内1丁目1番1号
相続人 山田一郎(長男) 印
住所 東京都千代田区丸の内2丁目2番2号
相続人 山田次郎(次男) 印
使い方の手順
- 被相続人・不動産・相続人の情報を実際の情報に置き換え
- 換価の代表者(売却手続きを行う相続人)を決定
- 分配割合を記載(法定相続分または協議で決定)
- 作成日付を記入
- 印刷して各相続人が署名・実印押印
注意点
- 「売却に要した費用」を差し引くことを明記
- 代表者に「換価に必要な一切の権限」を委任する文言を入れる
- 売却後、譲渡所得税が発生する可能性があるため、税理士への相談を推奨
- 3,000万円特別控除(空き家特例)の適用可否を事前に確認
ケース5: 代償分割(分割払い)
状況設定
- 相続財産: 土地・建物(評価額5,000万円)
- 相続人: 長男と次男(法定相続分 各1/2)
- 分割方法: 長男が不動産を取得、次男に代償金2,500万円を5年間で分割払い
記載例
以下をコピーして使用してください。
遺産分割協議書
被相続人 山田太郎(最後の住所:東京都千代田区丸の内1丁目1番1号、本籍:東京都千代田区丸の内1丁目1番地、死亡年月日:令和6年3月15日)の遺産について、相続人全員で遺産分割協議を行い、以下のとおり合意した。
1. 以下の不動産は、相続人 山田一郎(長男)が取得する。
【土地】
所 在 東京都千代田区丸の内一丁目
地 番 1番2
地 目 宅地
地 積 123.45平方メートル
【建物】
所 在 東京都千代田区丸の内一丁目1番地2
家屋番号 1番2
種 類 居宅
構 造 木造瓦葺2階建
床面積 1階 60.00平方メートル
2階 50.00平方メートル
上記不動産の評価額は、相続税評価額(路線価ベース)により金50,000,000円とする。
2. 相続人 山田一郎(長男)は、上記不動産を取得する代償として、相続人 山田次郎(次男)に対し、金25,000,000円を以下の通り分割して支払う。
第1回: 令和7年3月31日 金5,000,000円
第2回: 令和7年9月30日 金5,000,000円
第3回: 令和8年3月31日 金5,000,000円
第4回: 令和8年9月30日 金5,000,000円
第5回: 令和9年3月31日 金5,000,000円
支払方法: 次郎の指定する銀行口座(○○銀行○○支店 普通預金 口座番号1234567 口座名義 ヤマダジロウ)に振り込む。振込手数料は一郎の負担とする。
なお、一郎が支払を1回でも怠った場合、次郎は残金全額を一括請求できるものとする。
3. 本協議書に記載のない遺産については、相続人全員で別途協議する。
令和6年5月15日
住所 東京都千代田区丸の内1丁目1番1号
相続人 山田一郎(長男) 印
住所 東京都千代田区丸の内2丁目2番2号
相続人 山田次郎(次男) 印
使い方の手順
- 被相続人・不動産・相続人の情報を実際の情報に置き換え
- 不動産の評価額を算定
- 代償金の総額と分割回数を決定
- 各回の支払金額と支払期日を記載
- 銀行口座情報を記入
- 作成日付を記入
- 印刷して各相続人が署名・実印押印
注意点
- 各回の支払金額と期日を明確に記載
- 期限の利益喪失条項(1回でも遅れたら一括請求できる)を入れる
- 利息を付ける場合は、利率も明記
- 担保設定(抵当権など)が必要な場合は、別途契約書を作成
作成手順とポイント
遺産分割協議書を作成する具体的な手順を解説します。
ステップバイステップガイド
Step 1: 相続人全員で協議(合意形成)
まず、相続人全員で遺産の分け方について協議し、合意を得ます。
協議のポイント:
全員が納得するまで話し合う: 一人でも反対があると、協議書は成立しません。全員が納得できる分割方法を探しましょう。
感情的にならず、冷静に: 相続では感情的な対立が起きやすいため、冷静に話し合うことが重要です。
必要に応じて専門家に相談: 話し合いがまとまらない場合、弁護士や司法書士に相談することも検討しましょう。
協議すべき内容:
- 誰がどの財産を取得するか
- 代償金の有無と金額
- 費用負担(登記費用、税理士費用など)
- 債務の承継
Step 2: 必要書類の収集
遺産分割協議書の作成に必要な書類を集めます。
必要書類一覧:
被相続人の戸籍謄本(出生から死亡まで): 相続人を確定するために必要です。転籍が多い場合、複数の市区町村から取得する必要があります。
相続人全員の戸籍謄本: 相続人であることを証明するために必要です。
相続人全員の印鑑証明書(発行後3ヶ月以内): 実印の証明に必要です。登記申請直前に取得するのがおすすめです。
不動産の登記事項証明書(登記簿謄本): 不動産の記載を正確に行うために必要です。
固定資産評価証明書: 登録免許税の計算に必要です(相続登記時)。
Step 3: 協議書の文案作成
記事内の記載例を使って、協議書の文案を作成します。
作成のポイント:
不動産の記載は登記簿謄本を見ながら正確に転記: 一字一句間違えないよう、登記簿謄本を横に置いて確認しながら転記してください。
代償金がある場合は金額・支払期限を明記: 曖昧な表現は避け、具体的な金額と日付を記載します。
未記載財産の取扱いを記載: 「本協議書に記載のない財産は、相続人全員で別途協議する」という条項を入れておきましょう。
Step 4: 相続人全員で内容確認
作成した協議書の内容を相続人全員で確認します。
確認ポイント:
誤字脱字がないか: 氏名、住所、金額など、重要な部分は特に注意深く確認してください。
不動産の記載が登記簿と一致しているか: 登記簿謄本と照らし合わせて、一字一句一致しているか確認してください。
金額・日付が正しいか: 代償金の金額、支払期限、作成日付などを確認してください。
全員が内容に合意しているか: もう一度、内容について全員の合意を確認してください。
Step 5: 署名・押印
相続人全員が署名(自署)し、実印を押印します。
署名・押印のポイント:
署名は必ず自署: パソコンで入力したり、代筆したりすることはできません。必ず本人が手書きで署名してください。
実印を押印: 認印やシャチハタは不可です。市区町村に登録した実印を押印してください。
印鑑証明書の住所と協議書の住所が一致していることを確認: 協議書に記載する住所は、印鑑証明書の住所と完全に一致させる必要があります。
押印の位置: 氏名の後ろに押印します。氏名に少しかかるくらいが理想的です。
Step 6: 印鑑証明書の添付
相続人全員の印鑑証明書を添付します。
印鑑証明書の取得:
発行後3ヶ月以内のもの: 登記申請時には発行後3ヶ月以内の印鑑証明書が必要です。
原本(コピー不可): コピーは認められません。必ず原本を添付してください。
取得方法:
- 市区町村の窓口(1通300円程度)
- コンビニ交付(マイナンバーカード必要、1通200円程度)
Step 7: 部数作成
相続人の人数分に加え、登記用の原本を作成します。
必要部数の例:
- 相続人が3人の場合 → 4部作成(各1部 + 登記用1部)
- 銀行手続きも必要な場合 → 5部作成(各1部 + 登記用1部 + 銀行用1部)
原本と写しの違い: 登記・銀行手続きには原本が必要ですが、後で原本が返却される場合もあります(要確認)。
用紙・フォーマット
用紙
サイズ: A4用紙(白紙)
向き: 縦書き・横書きどちらでも可
最近はパソコンで作成することが多いため、横書きが主流です。
作成方法
パソコン作成: Word、Excel、Googleドキュメントなどで作成できます。
手書き: 手書きでも問題ありませんが、読みやすい文字で丁寧に書いてください。
注意点: 署名は必ず自署(手書き)が必要です。パソコンで作成する場合も、署名欄は空欄にしておき、印刷後に手書きで署名してください。
押印方法
実印の押印
相続人全員が実印を押印します。
実印とは: 市区町村に印鑑登録した印鑑です。
実印の登録がまだの方は、市区町村の窓口で印鑑登録を行ってください(本人確認書類が必要)。
押印箇所: 相続人の氏名の後ろに押印します。
押印のコツ:
- 朱肉をしっかり付ける
- 印鑑を垂直に押す
- 力を均等にかける
- 動かさずに真上に引き上げる
印影が不鮮明だと、登記申請時に問題になる可能性があるため、丁寧に押印してください。
契印(割印)
複数ページにわたる場合、契印(割印)が必要です。
契印の目的: 全ページが連続していることを証明し、ページの差し替えを防ぎます。
契印の方法:
- 複数ページを重ね、境目に印鑑を押す
- 各ページにまたがるように押す
- 相続人全員が実印で押す
押し方: ページをずらして重ね、境目の部分に実印を押します。前のページと後ろのページの両方に印影が残るように押してください。
訂正印
記載内容を訂正する場合、訂正印が必要です。
訂正方法:
- 訂正箇所に二重線を引く
- 正しい内容を近くに記載
- 訂正箇所に実印を押す
- 欄外に「○字削除 ○字加入」と記載
注意点: 訂正が多い場合は、作り直す方が無難です。訂正が多いと、見た目も悪く、トラブルの元になる可能性があります。
作成部数
必要部数
基本: 相続人の人数分 + 登記・銀行手続き用
例:
- 相続人3人、不動産1件、銀行1行 → 5部
- 各相続人1部ずつ(3部)
- 登記用1部
- 銀行用1部
原本と写し
原本: 相続人全員が実印で押印した協議書です。登記・銀行手続きには原本が必要です。
写し(コピー): 原本のコピーです。手続きには使えませんが、記録として保管しておくと良いでしょう。
原本の返却: 登記申請時に提出した原本は、原則返却されません。ただし、「原本還付」の手続きをすれば、原本の返却を受けられます。
印鑑証明書の添付
必要枚数
相続人全員分の印鑑証明書が必要です。
相続人が3人の場合、3通の印鑑証明書が必要です。
有効期限
発行後3ヶ月以内のものが必要です。
登記申請時には発行後3ヶ月以内の印鑑証明書が必要なため、登記申請の直前に取得するのがおすすめです。
原本・コピー
原本(コピー不可)が必要です。
コピーは認められないため、必ず原本を用意してください。
取得方法
市区町村の窓口で申請:
- 費用: 1通300円程度
- 持ち物: 本人確認書類(運転免許証など)、印鑑登録カード
コンビニ交付:
- 費用: 1通200円程度
- 持ち物: マイナンバーカード
- 対応コンビニ: セブンイレブン、ローソン、ファミリーマートなど
コンビニ交付は早朝・夜間でも取得できて便利ですが、市区町村によって対応していない場合もあります。
よくある失敗例と回避方法
遺産分割協議書の作成でよくある失敗例と、その回避方法を解説します。
不動産の記載ミス
失敗例1: 住所と地番の混同
多くの方が「住所」と「地番」を混同します。
間違い: 住所表示を記載
東京都千代田区丸の内1-2-3
正しい: 地番を記載
所 在 東京都千代田区丸の内一丁目
地 番 1番2
回避方法: 登記事項証明書(登記簿謄本)を見ながら、一字一句正確に転記してください。
住所表示と地番は異なることが多いため、必ず登記簿謄本で確認しましょう。
失敗例2: 数値の概算
間違い: 概算を記載
地 積 約123平方メートル
正しい: 正確な数値を記載
地 積 123.45平方メートル
回避方法: 登記簿謄本の数値をそのまま転記してください(小数点以下も正確に)。
「約」や「およそ」などの表現は使わないでください。
失敗例3: 構造の省略
間違い: 構造を簡略化
構 造 木造2階建
正しい: 構造の詳細を記載
構 造 木造瓦葺2階建
回避方法: 構造の詳細(瓦葺、陸屋根など)も省略せず転記してください。
登記簿謄本に記載された通りに転記すれば、間違いありません。
失敗例4: 共有持分の記載漏れ
不動産が共有名義の場合、持分も記載が必要です。
間違い: 持分の記載なし
正しい: 持分を明記
持分 2分の1
回避方法: 登記簿謄本の「権利部(甲区)」に共有持分が記載されていないか確認してください。
共有の場合、必ず持分を記載しましょう。
押印ミス
失敗例5: 実印以外の印鑑を使用
間違い: 認印、シャチハタを使用
正しい: 実印(印鑑登録した印鑑)を使用
回避方法: 押印前に、印鑑証明書の印影と一致するか確認してください。
印鑑証明書を横に置き、印影を見比べながら押印すると間違いを防げます。
失敗例6: 契印(割印)の漏れ
複数ページの場合、契印がないと別の書類とみなされる可能性があります。
回避方法: ページとページの境目に相続人全員の実印を押してください。
契印がないと、ページが差し替えられた疑いを持たれる可能性があります。
失敗例7: 訂正印の押し忘れ
訂正箇所に訂正印がないと、訂正が無効になります。
回避方法: 訂正箇所には必ず実印を押してください(または作り直す)。
訂正が多い場合は、作り直す方が無難です。
相続人の記載ミス
失敗例8: 相続人の一部が欠落
相続人の一部でも欠けていると、協議書は無効です。
回避方法: 戸籍謄本で相続人を正確に確定し、全員を記載してください。
以下の相続人を見落としがちなので注意が必要です。
- 前妻との子供
- 養子
- 認知した子供
- 代襲相続人(相続人が既に死亡している場合の孫など)
失敗例9: 住所が印鑑証明書と異なる
協議書の住所と印鑑証明書の住所が一致しないと、登記申請が却下されます。
回避方法: 印鑑証明書を先に取得し、その住所を協議書に記載してください。
住所は一字一句、印鑑証明書と完全に一致させる必要があります。
失敗例10: 旧姓のまま記載
婚姻後の相続人を旧姓で記載すると、戸籍謄本と不一致になります。
回避方法: 現在の氏名(戸籍謄本記載の氏名)を記載してください。
特に女性の相続人の場合、結婚して姓が変わっていないか確認しましょう。
内容の不備
失敗例11: 代償金の支払期限が未記載
支払期限がないと、「いつまでに払えばいいのか」でトラブルになります。
回避方法: 「令和○年○月○日までに」と具体的に記載してください。
「相続開始後1年以内」などの曖昧な表現は避けましょう。
失敗例12: 未記載財産の取扱いが不明確
後から財産が見つかった場合の取扱いを決めていないと、再協議が必要になります。
回避方法: 「本協議書に記載のない財産は、相続人全員で別途協議する」と記載してください。
この条項を入れておけば、後から財産が見つかっても柔軟に対応できます。
失敗例13: 債務の承継が未記載
被相続人の借金などの債務を誰が承継するか決めていないと、トラブルになります。
回避方法: 「被相続人の債務は○○が承継する」と記載してください。
ただし、債権者の同意なく債務を引き受けることはできないため、債権者への通知も必要です。
手続き上のミス
失敗例14: 印鑑証明書の期限切れ
印鑑証明書の有効期限(発行後3ヶ月)を過ぎると、登記申請が却下されます。
回避方法: 登記申請の直前に印鑑証明書を取得してください。
協議書を作成してから登記申請までに時間がかかる場合、印鑑証明書は最後に取得しましょう。
失敗例15: 相続人全員の合意がないまま作成
一部の相続人の同意を得ずに作成すると、協議書は無効です。
回避方法: 必ず相続人全員で協議し、合意を得てから作成してください。
後から「合意していない」と言われると、すべてやり直しになります。
失敗例16: 原本を1通しか作らない
後で追加の手続き(銀行解約など)が必要になった場合、原本がないと困ります。
回避方法: 相続人の人数分 + 手続き用(登記、銀行など)を作成してください。
原本は多めに作成しておくと安心です。
自分で作成 vs 専門家依頼の判断基準
遺産分割協議書を自分で作成するか、専門家に依頼するか、判断基準を解説します。
自分で作成できるケース
以下の条件を満たす場合、自分で作成できます。
条件
- 相続人が少数(2-3人)で全員協力的
- 財産がシンプル(不動産1-2件、預貯金のみ)
- 相続人全員が近隣在住(遠方にいない)
- 時間的余裕がある
- 代償分割・換価分割の場合、評価額について全員が合意している
メリット
費用を抑えられる: 自分で作成すれば、専門家への報酬が不要です(無料)。
自分のペースで作成できる: 専門家とのやり取りが不要なため、自分のペースで進められます。
デメリット
時間と手間がかかる: 登記簿謄本の取得、協議書の作成、相続人全員の合意形成など、時間と手間がかかります。
法的リスク: 記載ミスがあると、登記申請が却下されたり、後でトラブルになったりする可能性があります。
専門家に依頼すべきケース
以下の場合、専門家(司法書士、弁護士)に依頼することを推奨します。
条件
- 相続人が多数(4人以上)または遠方在住
- 不動産が多数または権利関係が複雑(共有、借地権など)
- 相続人間で意見の相違がある
- 数次相続、代襲相続など複雑なケース
- 相続税申告が必要(税理士と連携が必要)
- 期限が迫っている(相続登記義務化の3年期限)
- 認知症や未成年の相続人がいる(特別代理人・成年後見人が必要)
メリット
正確で確実: 専門家が作成するため、記載ミスがなく、確実に登記申請が通ります。
登記申請まで一括対応: 協議書の作成から登記申請まで、すべて専門家に任せられます。
トラブル防止: 専門家が間に入ることで、相続人間のトラブルを防げます。
デメリット
費用がかかる: 専門家への報酬が必要です。
司法書士に依頼する場合の費用相場
遺産分割協議書作成のみ
費用: 3万円~10万円
内容: 協議書の文案作成、製本
相続人の人数や財産の内容によって費用が変わります。
相続登記まで含む場合
費用: 8万円~15万円(登録免許税別)
内容: 協議書作成、戸籍収集、登記申請
登録免許税: 固定資産税評価額の0.4%(別途必要)
例: 評価額3,000万円の不動産 → 登録免許税12万円
登録免許税は、不動産の評価額によって決まります。高額な不動産ほど、登録免許税も高くなります。
相続手続き全般(銀行解約含む)
費用: 20万円~50万円
内容: 協議書作成、登記、銀行手続き、相続税申告(税理士連携)
相続財産が多い場合や、手続きが複雑な場合は、費用が高くなります。
費用の決定要因
以下の要因によって費用が変わります。
- 相続人の人数(多いほど高額)
- 不動産の筆数(多いほど高額)
- 戸籍の取得難易度(転籍が多いと高額)
- 相続関係の複雑さ(数次相続、代襲相続など)
判断フローチャート
以下のフローチャートで判断してください。
[START]
↓
相続人は2-3人で全員協力的?
↓NO → 専門家に依頼
↓YES
↓
不動産は1-2件でシンプル?
↓NO → 専門家に依頼
↓YES
↓
時間的余裕がある?
↓NO → 専門家に依頼
↓YES
↓
自分で作成できる!
簡易判断表
| 項目 | 自分で作成 | 専門家依頼 |
|---|---|---|
| 相続人の人数 | 2-3人 | 4人以上 |
| 財産の内容 | シンプル(不動産1-2件、預貯金) | 複雑(多数の不動産、権利関係が複雑) |
| 相続人の関係 | 協力的 | 意見の相違がある |
| 期限 | 余裕がある | 迫っている |
| 費用 | 無料 | 3万円~50万円 |
よくある質問(FAQ)
遺産分割協議書に関してよくある質問をまとめました。
Q1. 遺産分割協議書は必ず作らないといけないのですか?
A: 相続人が1人だけの場合や、遺言書があってその通りに分割する場合は不要です。ただし、不動産を相続する場合、相続登記が義務化されたため、登記申請時に遺産分割協議書が必要になることが多いです。
特に、法定相続分と異なる分割をする場合は、必ず遺産分割協議書が必要です。
Q2. 手書きとパソコン、どちらで作成すればいいですか?
A: どちらでも構いません。ただし、署名は必ず自署(手書き)が必要です。パソコンで作成する場合も、署名欄は空欄にしておき、印刷後に手書きで署名してください。
最近はパソコンで作成することが主流です。Word、Excel、Googleドキュメントなど、お好みのソフトで作成できます。
Q3. 用紙はA4でないとダメですか?
A: A4が一般的ですが、B5やA3でも問題ありません。重要なのは用紙のサイズではなく、記載内容が正確であることです。
ただし、法務局に提出する書類はA4が推奨されているため、A4で作成するのが無難です。
Q4. 印鑑は実印が必須ですか?
A: はい、相続人全員が実印(印鑑登録した印鑑)を押印する必要があります。認印やシャチハタは不可です。
実印の登録がまだの方は、市区町村の窓口で印鑑登録を行ってください(本人確認書類が必要)。
Q5. 複数の不動産がある場合、全部書かないとダメですか?
A: はい、省略はできません。すべての不動産を個別に記載する必要があります。ただし、「別紙物件目録のとおり」として別紙に記載する方法も可能です。
不動産が多数ある場合は、別紙物件目録を作成する方が見やすくなります。
Q6. 後から新しい財産が見つかった場合はどうなりますか?
A: 協議書に「本協議書に記載のない財産は、相続人全員で別途協議する」という条項を入れておけば、再協議で対応できます。この条項がない場合も、相続人全員で新たに協議書を作成すれば問題ありません。
後から財産が見つかることは珍しくないため、この条項を入れておくことをおすすめします。
Q7. 協議内容を後から変更できますか?
A: 相続人全員が合意すれば、変更は可能です。ただし、登記が完了した後の変更は「更正登記」が必要になり、手続きが複雑になります。
また、相続税申告後に変更すると、修正申告や更正の請求が必要になる場合があります。
変更は可能ですが、手続きが複雑になるため、最初から慎重に作成することをおすすめします。
Q8. 相続人の一人が遠方にいる場合、郵送でやり取りしても大丈夫ですか?
A: 大丈夫です。協議書を郵送し、署名・押印してもらい返送してもらう方法が一般的です。ただし、事前に内容をしっかり確認してもらうことが重要です。
郵送前に、電話やメール、ビデオ通話などで内容を説明し、合意を得ておくとスムーズです。
Q9. 未成年者や認知症の相続人がいる場合はどうすればいいですか?
A: 以下の対応が必要です。
未成年者がいる場合: 親権者が代理人となりますが、親権者も相続人の場合は利益相反となるため、特別代理人の選任が必要です(家庭裁判所に申立)。
例えば、母親と未成年の子供が相続人の場合、母親が子供の代理人になると利益相反となるため、特別代理人を選任する必要があります。
認知症の相続人がいる場合: 判断能力がない場合、成年後見人の選任が必要です(家庭裁判所に申立)。
いずれも専門家(弁護士、司法書士)への相談を推奨します。
Q10. 協議書を作成したが、相続人の一人が音信不通の場合はどうすればいいですか?
A: 相続人全員の合意が必要なため、音信不通の相続人を探す必要があります。戸籍の附票で住所を調べ、手紙を送る、訪問するなどの方法を試してください。それでも連絡が取れない場合は、家庭裁判所に「不在者財産管理人」の選任を申し立てる方法があります。専門家(弁護士)への相談を推奨します。
不在者財産管理人が選任されれば、その管理人が不在者の代わりに遺産分割協議に参加できます。
まとめ
遺産分割協議書は、相続人全員で遺産の分け方を決めた際に作成する重要な書類です。
この記事のポイント
2024年相続登記義務化
不動産を相続する場合、遺産分割協議書は必須です。
相続登記は、不動産を取得したことを知った日から3年以内に申請する義務があります。正当な理由なく申請しないと、10万円以下の過料が科される可能性があります。
不動産の記載は正確に
登記簿謄本を見ながら、一字一句正確に転記してください。
住所と地番を混同しない、数値は小数点以下も正確に、構造の詳細も省略しないことが重要です。
代償分割の評価方法
相続税評価額、不動産鑑定評価など、状況に応じて選択してください。
高額不動産や相続人間で争いがある場合は、不動産鑑定評価を取得することをおすすめします。
記事内のコピペ可能な記載例を活用
自分の状況に合うケースを選んで使用してください。
5つのケース別記載例を提供していますので、そのままコピーして使えます。
専門家への相談
複雑なケースは司法書士・弁護士に依頼しましょう。
相続人が多数、不動産が複雑、期限が迫っているなどの場合は、専門家への依頼を検討してください。
次のアクション
自分で作成する場合
- 自分で作成できるか判断(判断フローチャート参照)
- 記事内の記載例をコピーして作成開始
- 登記簿謄本を取得し、不動産を正確に記載
- 相続人全員で内容確認
- 署名・押印、印鑑証明書を添付
専門家に依頼する場合
- 司法書士または弁護士に相談
- 見積もりを取得
- 必要書類を準備
- 専門家に協議書作成を依頼
期限に注意
相続登記の期限(3年)に余裕を持って、早めに遺産分割協議書を作成しましょう。
期限を過ぎると過料が科される可能性があるため、計画的に進めることが重要です。
最後に
遺産分割協議書は、後のトラブルを防ぐための重要な書類です。
この記事の記載例や解説を参考に、正確で確実な協議書を作成してください。
わからないことがあれば、お気軽に専門家にご相談ください。
無料相談のご案内
遺産分割協議書の作成、不動産評価、代償分割の評価額算定など、お困りのことがございましたら、お気軽にご相談ください。
不動産鑑定士と税理士が連携し、あなたの状況に合わせた最適な方法をアドバイスします。

北原 崇寛
不動産鑑定士・宅地建物取引士
大手不動産鑑定会社で裁判鑑定・証券化案件・担保評価等を担当後、東証一部上場不動産会社にて不動産訴訟アドバイザリー、法律・税制面からの不動産有効活用コンサルティングに従事。2020年北原不動産鑑定士事務所開業。

